最近、充実しているはずなのに退屈なのはなぜだろう。
充実した仕事、優しい彼氏、気の置けない友人、時間にゆとりのある生活、学生の頃に焦がれた欲しいものは全て手に入れた。
なのになんでこんなに退屈なの。
毎日が味の薄いガムみたい。
なんで、こんなにわたしはさびしいの。
それは、たぶん自分の好きなことをしていないから。
書いていないからだ。
◎ ◎
1年前わたしは、ライターだった。
病棟看護師としてフルで残業もこなしながらライターとして月に100時間以上働き副業収入だけで15万円以上の収入を誇る一端のライターだった。
税務署にも、ライターとして執筆者として届け出を出し、市民税は7万円以上とられるほど世間から見ても一端のライターだった。
けれど、ある日わたしは大好きだったライターを辞めた。
看護師としてフルで働きながらも、ライターにのめり込み過ぎたわたしは、くる仕事を全て引き受けキャパがいっぱいになったのだ。
腱鞘炎になり、キーボードを打てる指が減り、納期に追われるあまりに夜2時に寝て朝は4時に起きる生活を繰り返した。
それでも時間が足りないあまり、歩きながらスマホに文章を打ち込み、患者さんの食事介助中やトイレ介助中に文章を頭で考え休憩時間にすぐにそれをスマホに打ち込んだ。友達と遊んでるカラオケで文章を打った。書きまくっていた。そしたら、ある日文章が書けなくなった。
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大好きな文章を書くのが苦しくなってしまった。
だから、ライターを辞めた。
ライターを辞めた直後は楽しかった。
ゆっくりご飯を食べて、友達と時間を気にせず遊んだ。
仕事の休憩時間は、同僚との会話を楽しみ、休みの日には、気になる男の子とのデートにでかけた。
納期に追われない生活のゆとりは、わたしの心に平穏を呼んだ。
何にも追われず、自分の考えを自分らしく持って許される日々。
職業ライターとして、クライアントワークで自分の意見では無くクライアントに忖度するような記事ばかり書いていた。気付けば、自分の意見が無くなりクライアントの顔色ばかり伺っていた.
わたしに取って誰にも自分の考えを否定されないふつうの生活は幸せだった。
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ライターを辞めて1年間たった
わたしは、あんなに疲弊し嫌になっていた書くことが恋しくなっていた。
頭に単語を浮かべ、つなぎ文章をつむぐ。読み手の気持ちにたち、読みやすさを考え文章の修正を行う。
ライターの頃、日常だった、あの文章を作るときの高揚感が懐かしくなっていた。
「また、書きたい」。
そう強く思うようになった。
けれど、どうしよう。ライターを始めるとわたしはまたライターにのめり込み睡眠を削り、ぼーっとする時間を無くし、疲弊してしまう。
ライターを辞めたあと、彼氏もできた。同棲も始めた。久しぶりにできた信頼できる大切な恋人。ライターを始めると、そんな彼との時間さえ疎ましく思い、書くことに没頭してしまうのでは無いかと怖い。
書くことは、麻薬だ。没頭すると周りが見えなくなる。疲れていることにも気付かなくなる。
それに、クライアントワークで自分の意見が無くなるのも怖い。わたしは、書くことが好きだからこそ自分の意見を曲げクライアントに尽くすことになるのが辛かった。
色んなことを考えながら、スマホでネット記事をななめ読みしていると「かがみよかがみ」というサイトに出会った。
そこには、書くことが好きな人々が自分の考えを自由に表現していた。個人的な体験から得た知見が載っていた。わたしは「これだ。これいいな」と思った。
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書くことが好きなわたしは、書くことが好きだからこそ職業ライターには戻れない。
けれど、書くことは辞められない。
わたしは、これから自由に自分の考えをまとめ、かがみよかがみに時たま投稿していきたいと思った。
好きなときに、好きなことを自由に表現し投稿していきたいと思った。
そうすることで、自分の頭を整理し、書く楽しみをまた味わいたいと思った。
味の薄いガムみたいな生活に彩りを添えたいと思った。