「どれだけ医療が発達しても、頑張っても改善されないので、誰かソレを治す何かを作ってくれないかな」

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私の生活に支障をきたすほどのソレは、どうやら理解にバラつきがあり、特効薬はなく、具体的な改善策はあるようでないらしい。

ソレとは生理痛のことで、もうかれこれ7年の付き合いになる。初潮が来た頃はまだ痛みもなく、周期も気にしていなかった。「血が出て不便だな。スイミングスクールお休みしなきゃ」程度のもので、問題なしの生活。

しかし中学生の部活動引退前の練習中、生理痛は突然起こった。強烈で耐え難い痛みに襲われ、練習に参加できないどころか学校にも行けない。動けないし何も食べたくない。部活のメンバーや顧問には全く理解してもらえない。心も身体も辛かったので、とりあえず病院へ行ってみた。

通院日で練習を欠席していたある日、部活内の男子が言った陰口は「どうせ仮病、本当に痛いなら子宮頸がんで死ね」だったらしい。「あー、生理痛ってお腹痛いだけじゃないんだ」と心も痛めた。

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生理の2日〜3日目あたりを乗り越えればなんともなかったが、あまりにも辛いため別々の病院に何度か行った。何度行っても、診断結果はあまり納得のいくものではなかった。

「思春期は安定しないから」

「体質ということもありますので」

「大きな病気は見つかってないので、大丈夫です」

そしてどのお医者さんも最後に「痛み止めで様子をみてください」という。もちろん痛み止めなので痛みはおさまるが、「なぜ生理痛は根本の改善に辿り着けないのだろう」と不服だった。

この生理痛は年々認知が広まったおかげで、休むべき日として定義されつつも、嫌な顔をされるので理解には至らないんだと諦めた。理解なんてしなくていいから、せめてその歪んだ顔は陰でやってよと思う。もしくは同じ痛みを味わって欲しいとすら思う。

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大人になってからも婦人科へ足を運んだ。やはり特効薬などなく、ピルや痛み止め、漢方などが勧められる。どれも納得行かなかった。

会社員になった時、生理休暇で一日給与補償があった。心が救われた気がした。認められているのかもしれないと。月に1回使うか使わないかの生理休暇を3回使った頃、呼び出しをされ「生理休暇廃止」と言われた。

「給料出てたら気を遣ってしまうでしょう。これで気兼ねなく生理でも休んでもらえるし、生理とかわざわざ言わなくても、体調不良って連絡でいいから」

は?

優しい口ぶりだが、「自分だけ給料もらって休んでるのズルい」的な言い回しに腹が立った。女の敵は女か。経理のおばさんは味方ではなかった。

正直、何を言ってるのかわからなかった。しかし、社内で生理休暇を使うのは私1人だった。古い中小企業がこの制度を入れたのは、新卒の女を雇いたかったからと後から聞くことになる。私は、自分の不自由をからかわれ、はめられた気持ちになった。その日は母に愚痴をこぼさざるを得なかったため、電話しながら実家へ帰った。

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生活習慣を見直した、大好きなコーヒーやチョコも控えて、できるだけ運動もした。それでもキツい日はどうやってもキツい。痛いものは痛い。

どうして特効薬がないのだろう、それさえあればこんな惨めで辛い思いをしなくていいのにと、どこかの誰かに八つ当たりをする。自分が作る力なんてないので、せいぜい八つ当たりくらいしかできない。

ナプキンの広告は、時に生理痛が辛い人の反感を買うことがある。もういっそ、ハッピーな広告だろうが、誰も理解してくれなかろうが構わないので、生理痛がすっかりなくなる何かを生み出してはくれないだろうか。

最近は身近な子からも生理痛の相談を受ける。腹巻きや飲み物のアドバイスなど、私がやってよかったかもしれないことを布教し続けている。「痛さ加減はやや緩和されたのかな」程度だが、少しでも救われれば幸いだ。

どうか医療の偉い方、もう誰でもいいや。生理痛に悩む我々を解放する何かが、1日でも早くこの世に登場しますように。