今の世の中はインスタグラムやXなど様々なツールを使って写真を見ることも写真を拡散することもできる。私自身も写真を撮ることが好きでよく一眼レフカメラやフィルムカメラで写真を撮る。しかし私はそれをあまりSNSにはあげない。私の大切な思い出を情報の海に放流したくないからだ。

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もちろんSNSを活用することによってたくさんの人に自分の世界を伝えることができる、そしてたくさんの人の世界をのぞくことができる。とても画期的で素敵なシステムだと思う。だがそのかわりに毎分毎秒新しい情報や画像、動画が流れていく。人々はそれを常にスクロールし流し見をしていく。どんなに有名な作家の絵だろうが、惨状を切り取った戦場の写真だろうが、人差し指一本で別の画面へ移動されてしまう。私はこの現状があまり好きではない。

かといって自分はSNSに写真を投稿しないのかと言われればそんなことはない。もちろん友人と遊んだ日や旅行先で見た夕焼け、美味しすぎてお腹も心も満たされた料理の写真など自分のアカウントで投稿することもある。しかしSNSというのは娯楽にもなるし、自分の心を傷つける武器にもなってしまう。SNSに疲れた私はデジタルデトックスをしに福島の田舎に帰省することにした。

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私は三姉妹で、実家にはとても分厚いアルバムが6冊ある。しかもその6冊目が完成したのは今年の夏らしい。一人2冊、生まれた頃から中学を卒業するまでの15年分がまとめてある。3人分の15年間をアルバムにするのは膨大な時間がかかるし莫大な写真の印刷量にもなる。そして何より切って、貼る作業がとても手間がかかる。それを母が一人で作ってくれていた。私は帰省している間、その6冊を全て隅々まで見ていた。写真それぞれに日付、行った場所、起きた出来事を母の字で丁寧に書いてあった。

母が若かった頃はもちろんスマートフォンなんてなかった為、全てデジタルカメラで撮った写真をプリンターで印刷をしてくれていた。写真は日焼けして色褪せているものもあるし、画質が悪くピンボケしている写真もあった。今は自動でスマホがピントを合わせてくれるのでピンボケという言葉もあまり聞かなくなった気がする。便利な世の中になったなと改めて思う。自分もスマホを持ってからはデータで写真を保管することが増えたけれど、久しぶりにアルバムを開いてみると少しカビ臭かったり、埃っぽかったりした。しかしそんなところがアナログの魅力なのだろう。

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便利な世の中になった代わりに消えていってしまう素敵なものもたくさんある。本当に大切な写真は、SNSに載せ、不特定多数の人間に安易に消費されたくはないと思ってしまう。こうして家族の思い出は家族だけで大切に温めていきたい。それを今回の帰省で実感することができた。写真との距離の取り方はSNSとの距離の取り方に通ずるものがある気がする。自分の中で本当に大事なものを決して忘れないようにしていきたいと思う。