基本的に即レス主義。通知が来た瞬間に一回は内容を確認する派の私である。
そんな私が一度見てスマホを閉じる瞬間はまあ、たまにある。そういうメッセージは通知画面で大体わかる。

ゆっくり指圧(ゆびあつ)をかけながらプレ既読状態でメッセージを読む。
そして偽未読のままスマホの電源を落とす。
その時の私の脳内を脳内メーカーするとほぼ大半を占めている言葉がある。
「なぜだかわからないがめんどくさい」
それだけである。

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私にとってスマホ上でのメッセージのやり取りは基本的に脳内スリープモードでのやり取りである。何も考えてはいない。まるで理科の授業で習った脚気の反応のように、息するようになんでもない言葉が指先からネットへと流れ出ていく。

元々人とのコミュニケーションにあまり熱量を求めるタイプでない上、顔も見えない状態でのやり取りにどのくらいの価値があるのか、なんなら時間潰し程度のやり取りでしかないと認識しているが故に、エネルギーを必要とするメッセージが始まろうとした瞬間私は一旦メッセージを温める癖があるのだ。

朝起きていきなりカップラーメンを渡されている気分になる。
瞬時に口の中にラーメンを吸い込み美味しいと消化できる人もいるだろうが、朝は最高スープ、どうかしたらご飯なんかいらない私にとってはいきなり口に詰め込んだら吐いてしまうので、まずは体を起こすところから始まるのだ。

メッセージに向き合う準備時間は様々で、業務上の連絡や社会人の倫理観的にこれはなるべく早く返信した方がいいんだろうなといったものについては頑張って、ASAPで脳を起動する。ただ、その後の疲労が凄まじいのでできればやりたくない。
そうでない友達からの少し重めなメッセージの場合は、一旦ご飯を食べようかなんなら外出して帰ってきてからにしてしまおうか。そのくらいの感覚で返す優先順位は恐ろしいほど下がってしまう。
相手のことを心配してないわけでもないし、相手との関係を悪化させたいわけでもなく、 面倒くさい、その一言で片付けてしまうには複雑で。
ただ、指が動かないのである。

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友達からの悩み相談だった場合、私はこの冷たい文字面でなんと返信すると相手は救われるのだろうか。そもそもメッセージのやり取り程度で救われる悩みであれば私にメッセージなどよこして来ないのではないか?はたまた悩みをぶちまけるために会う段取りを組もうとしているのだろうか。
基本的に自分の悩みをメッセージという形で打ち明けない私からすると、このメッセージにどこまでの想いとエネルギーがかかっているかが不明で困惑するのだ。

今度遊ぼうよ!といったポジティブなメッセージだった場合、むしろこっちの方が私をより困惑させる。そう、苦手なのだ。約束というものが。
予定を詰め込むということが得意ではない私は、人から約束を持ちかけられた時にその日別のことがしたくなっているかもしれないのに約束なんてできない。そう考えてしまう。
それが仕事だったり、何かの試験だったり逃れられないものの場合は何も感じない。
問題は私自身がどうにでもできてしまう約束の時だ。自分の気持ちの移り変わりを知っているからこそ、反故にしたくないから約束をしない。決して会いたくないわけでもなく、嫌いなわけでもない。
だからこそポジティブな約束のメッセージは私を苦しめたりする。

人とのコミュニケーションの取り方が下手なんだろうなとこうして客観的に自分の行動を分析をすると、少しだけ笑いが込み上げる。もしかすると私が思うほどにメッセージを送ってくる相手は何も思っていないのかもしれないし、私が深く捉えすぎているだけなのかもしれない。ある意味バカ真面目なのだ。
それでも、もし、私からのメッセージの返信を待っている方々がこのエッセイを読んでいるのであれば一言伝えたい。
時間がかかるけれど返事はするのでもう少し待ってください笑、と。