私はとある大学に通う19歳の女子大学生。最近成人式を迎え、「ああ、大人になってしまったんだな。」という実感とともに、大学入学後の月日の流れの速さに驚き、就職活動に向けた不安や葛藤の気持ちが湧いているところである。

そんな私には、同じ19歳の“おまもり”がいる。それは、私が0歳の頃から共に暮らしてきた、犬のぬいぐるみである。名前を「ざらざらのワンワン」。通称「ざらわん」→「おじゃら」という。なぜこのような名前になったかというと、ずーっと一緒に生活しすぎて、ぬいぐるみの表面がふかふかではなくざらざらになってしまったからである。

また、「ざらざらのワンワン」を省略して「ざらわん」、さらに「ざらわん」を丁寧形にして“お”をつけた「おじゃら」という最終形態に至ったのである。おじゃらの性別は決まっていない。時に女の子、時に男の子、また時に無性別である。

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おじゃらと私の出会いは、母が言うに地元のショッピングモールだという。当時、私たち家族は3人で地元のショッピングモールまでお買い物に出掛けていた。2階フードコート前のショッピングワゴン(期間限定の出し物)におじゃらはいた。

私が「触らせろ」と騒いだ挙句、当時まだ商品であるおじゃらに対して熱いキスをしてしまったらしい。これにより両親は購入の義務を抱え、私とおじゃらは心の友になる第一歩を踏み出したのである。

今までの19年間の人生の中で、おじゃらと私は信仰を深めていった。辛い時、嬉しい時、怖い時、楽しい時。おじゃらはずっと私のそばにいた。例えば、私が人生で初めて挫折を味わった中学2年生の夏。初めてのバレエコンクールで技を失敗し予選落ち、同い年の友達は予選を通過した。自分のレベルと現実を知って目を背けたくなった。そんな自分に対して悔しくて泣いた時。

他にも、大学1年の春。全く新しい環境・友達・生活と初めてのアルバイトに適応しないといけなくて、毎日心が疲れていた時。学校の最終課題や試験が終わり解放感に溢れて嬉しい時。友達・家族と喧嘩して悲しい時。具合が悪くて辛い時。ただ無言で私に抱きしめられるだけ・一緒に寝るだけだけど、私の心を励ましてくれる・穏やかに安定させてくれる、また私のことを安心させてくれる存在だった。否、それは今もそうである。

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このエッセイを読んでいる人の中にはドン引きする人もいるかもしれない。でも、私は19歳になった今でもおじゃらと一緒に寝ているし、毎朝おじゃらに布団をかけて「いってきます。いい子に寝ててね。」と言う。気温が低い冬は布団を2枚掛けにしたり、逆に気温が高い夏はわざと布団をかけなかったりする。ペットと同じように匂いを嗅ぐ・吸うこともある。

もうすぐ20歳の誕生日を迎えるが、おじゃらと一緒でない未来を想像することができない。それぐらい、おじゃらの存在は私にとって大きい存在であって、私の心の友であり、精神安定剤であり、また大切なおまもりである。