「そういえば、20代後半になるが、ろくに恋愛という恋愛をしていない……」と朝、歯磨きをしながら鏡に映る自分の顔を見て、そう思った。

最近、30代手前になってきたので、いわゆる婚活をしないと……と思い、重い腰をあげてマッチングアプリを開始した。いま、自分は地方拠点にいるのもあり、東京在住の方とマッチングするには、やはりハードルがある。

◎          ◎ 

マッチングアプリ内のテキストで何回かやりとりし、次第に質問がパーソナルな内容に移り始めた頃に、お相手から「zoomで話しませんか?」と連絡がくる。普段だったらテキストが苦手なので、早めに自分から「zoomで話しませんか?」と持ちかけたい性格なのだが、「男は追わせないといけないよ」と前職の先輩に言われたことがあり、そこは我慢してテキストのラリーを続け、向こうからそう持ちかけられるのをじっと待っている。
実際、私は先月、何人かの男性とzoomで話をした。

何人かと話して思ったのは、皆、ほんとうに育ちの良い、”ちゃんとした人”だということ。きっと両親や周りの人に大切に育てられてきたんだろうな、と思うくらい、経験も会話も、話しててなんとなく見える人となりもしっかりしている。

どんな学校を出て、どんな仕事をしているかで第一印象は判断しがちだが、実際話すと、その人がこれまでどんな生育環境にいて、どんな友好関係を築き、どこでどんな風に過ごしてきたのか、なんとなく伝わってくるものがある。私が話した方は、本当に皆さん、育ちも人となりも”しっかり”していて、初対面なのに信頼できた。

◎          ◎ 

一方、zoomで話すまでに「なんとなく、合わないな……」と思う方も正直いた。本人が悪いというわけでは決してない。私のプロフィールをみて、「Tさんとなら、仲良くなれる気がしました」と送ってくる方だったり、「プロフィール画像の雰囲気が好きで連絡させてもらいました」というような始まりの方だ。

「人間関係は”主音”で始まる」というのを本で読んだことがあるが、まさにこれだな、と思ってしまう。人が相手に与える第一印象がその人の“主音”となって、ずっとそのイメージをもたれるということだ。まだ、直接何も話していないのに、一方的に一目惚れされたり、外見で「好きです」となってしまう……。
これまでも何回かあったが、私はこのような人間関係の始まり方が好きではない。もし、見た目が今のビジュアルでなかったら、多分「好きです」とはなっていなかったと思うし、外見なんてすぐ飽きられてしまうと思うし、そもそも私の内なる魅力を見てほしい……というのが根底にある。だから、声をかけられる時も、見た目に触れない方の方が、知的で思慮深くて好感がある。

◎          ◎ 

先程の話に戻ると、zoomで一回話しただけでは、そんな“しっかりした人”の本当の価値観や自分との相性などはわからないし、何回も話をしたり、色々な人と出会う中で、その方と自分が付き合う良さがわかるものだと思った。いくら、素晴らしい”良い人”でも、自分と一緒に過ごす中で、相手や自分の欠点ばかりに目がいってしまうような関係性になるのであれば、お互いにとって良くない。
アラサーの私は、お互い刺激し合い、一緒にいて高め合える、支え合えるような関係性になれる人と付き合いたい。