私はアトピー性皮膚炎を患っている。顔にはあまり症状が出ていないが、それ以外のほとんどの部位で発症している。首、四肢、胴体の至るところに掻き傷やその跡が赤茶色く残っている状態だ。
症状等については、以前このサイトに投稿した「アトピーに主人格を乗っ取られる感覚。人間は痒みの前では無力だ」「防げる肌の乾燥は全て防ぎたい私が願掛けのような思いで買った入浴剤の2本のエッセイのなかでも書いてきた。

とにかく早く治ってほしい。健康な皮膚を手にしたい。
これまでも綴ってきたこの思いに、嘘はない。心から望んでいることだ。
しかしその一方で、願いを叶えるのを妨げる行為をしてしまっている私がいる。

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お風呂に入るとき、必ず、熱いシャワーを患部に当てている。それも、結構長い時間。水勢を最大の強さにして。
そうすると、皮膚が熱を持ちだして痒くなってしまう。忍耐力がない私は、我慢できずに掻きむしる。かさぶたが剥がれ、血が出てくる。患部が広がっていく。
言うまでもなく、非常に良くない行いだ。完治を望む人間がやることとは思えない。

では何故このようなことをやってしまうのか。理由はただ一つ。めちゃくちゃ気持ちいいからだ。アトピー持ちの人は分かってくれると思う。「アトピー 熱いシャワー」でネット検索をかけると、同志がうじゃうじゃ出てくる。

本当に、とんでもなく気持ちいいのだ。シャワーを当て始めると脳がフワ~とし始めて、それを続けるとパーンと弾けるような快感が得られる。人それぞれだと思うが、私個人としては、性行為よりも全然気持ちいい。
ただ、気持ちよさの性質としては性行為で得られるものとは違っていると思う。どちらかというとマッサージで感じる快感の方に近い。例えるなら、皮膚の下から直接凝っている箇所をほぐしてもらっているような感覚かもしれない。それが実際気持ちいいのかは分からないが、体感としてはそんな感じ。マッサージの気持ちよさを最大出力にした、みたいな。

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だとして、治したいならするなよ、そんなこと。
多くの方はそうお思いのことだろう。その通りだ。返す言葉もない。
同じように感じているアトピーの人のなかにも、自制できている人もたくさんいると思う。要するに私の意思が弱いのだ。無料で、セルフで施術できる優秀なマッサージ機器を前に、使わないでおくという選択をすることができない。シャワーを持つ手が勝手に動いて、患部に当てることをやめてくれない。

症状が出ていない部分にシャワーを当てても、別に気持ちよくない。つまり、患部を減らしてしまえばこの行為をしないでいられる。そう思い、最近は以前に増して入念に薬を塗っている。シャワーを当てること自体を我慢することはできないので、快感を得られる箇所をなくしていく作戦だ。
完治せずとも、症状が軽くなっていくと、シャワーを当てた後の掻きむしりを我慢しやすくなる。悪化の度合いを最低限に抑えることができる。
いつか皮膚をキレイに治して、この行為からも脱却できる日を迎えたい。

変色した皮膚と私の自制心の無さからすると、ずっと先のことになりそうだけど。