私は、現在30代。
小学生の子供がいてフリーランスで働いている。

12歳から21歳までヤングケアラーだった。だから高校卒業してからは大学生、社会人のカテゴリーには入れない。友達にも親の介護をしていてなんて言えなくて、へらへらとなにも考えていないように自分を装った見せかけのフリーターだった。

フリーターのわたしは、親の体調を見ながら転々とバイトをしているだけの人間。もちろんキャリなんて親の介護ぐらいで、何もない。

嘘つきだらけの18歳〜21歳までのキャリア。21歳の時に介護と両立するため保育科の夜間の学校に入って、とりあえずの資格を取った。

履歴書を書くにもアルバイトを転々としていて面接で聞かれる転々としたバイト理由を毎回介護とはいわず誤魔化す日々。

経歴が長く続いていないと何もかもだめな社会で心が毎日苦しかった。

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親のために取り繕った世界の中でしか生きていなくて親のためにすべての選択肢を決めていた私にはみんなと同じようなキャリアの積み方はしていない。できていない。

周りの20代は夢の為に大学生活を頑張っていたり、仕事に励んで、自分磨きや自分の好きな物を買う。そんなキラキラなキャリアなんてなかった。正社員になったことがない。

そんな私は25歳でこどもを産んだ。

こどもが4歳の頃子育てが落ち着いてきてふたたび自分の仕事のキャリアに向き合うことになった。

履歴書を見てため息。自分の生き方を見ているようで虚しかった。

仕事を探すうえで大人や友人から「保育士は社会経験にならない」と言われたこともある。

家庭の事情でしかたなくそれしか選択できなかった人には「キャリアなんてめない」「いまからじゃ遅いよそんな言葉で傷ついて自分がますます嫌いになっていた。

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でも、世間の外では、自分の過去のことはだれもわかってくれない。そう思っていた。
コロナ後に時代が少しずつ変わり、私もなにか変わりたくなった。

でもこんどはこどもがいるから「働くのは難しいでしょ」「こどもがいるから短時間勤務でいいでしょ?」

こんどはこどもがいるという理由で、世間から働くことの選択肢を狭くする状況を与えられる。

これは自分がヤングケアラーだからだけじゃなくて、こんどはこどもがいるママだからに変わった。女性のキャリアを積む方法ってなんか難しくない?みんなと同じ線路から外れてしまったらそこで進めなくなる社会に苛立ちが芽生えた。

悔しいし、私って永遠にキャリアを積めないで人生おわるんじゃないか?

育休をもらうには条件があるし、わたしは正社員にもなったことがない。とまた闇に飲まれてしまった。

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その後、フリーランスや個人事業主が増えて在宅の働き方があることを知った「正社員になったことのないキャリアの私はゴミだ」と思っていた頭のい私は、コロナをキッカケに全く触ったことのなかったPCにチャレンジしてみたり新しいことにチャレンジするきっかけになった。

ヤングケアラーだった自分には最高の時代になったなと思った。
フリーランスや個人事業主は、キャリアを重視することもあるけど、今自分ができる経験をアピールできるので過去の私のアルバイト経験や介護経験を話さなくていいと思うと気がすごく楽になる。

女性として、今後も年齢と共にキャリアの息苦しさはつきまとうかもしれない。
でも、今は、沢山の情報から自分の得意なことで、働くことができる。
ぶつかったキャリアの壁を壊せる時代の中で、私は今日も自分をアピールしてぶつかっていく。

キャリアの旅は、誰しもが自身の道を歩む中でさまざまな困難に直面する。わたしみたいに、ヤングケアラーとして育った人々は特にその壁が高く感じられることがおおくて仕事の経験や社会的な地位によってキャリアを評価されるけどこれからの経験やスキルを活かして、もしかして過去の経験が、今後の道を切り拓くための原動力になるかもしれない。

これからもぶっ壊してやる。