もう二度と会えない友人への思いを綴ったことから、私の仕事の合間を縫った「お気持ち表明」が始まった。今から2年前の初夏のことだった。
この2年の間、「めんつ」への愛は変わらず続いていたが、「大好きな2人の故郷に移り住みたい」という夢を持ちつつも、それは未だに叶えられないでいる。
「隣に男の人がいる自分」を相変わらず想像できないでいて、でも、東京に行くと会いたくなる彼のことは時々思い出している。
「自分を変える努力」なんて一切していないし、本命チョコを渡したくなるような相手もいない。
片付けが苦手なばあちゃんのことを時々想いながら、笑顔輝く友人の晴れ姿に涙した日もあった。
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「かがみすと」でいるには18歳から29歳までという年齢制限があり、デビューから2年後の今年、30歳になる私はついにかがみすとを卒業する。この投稿が掲載される頃には、私はあっという間だった20代の生活を終え、30代への扉を開いているだろう。
なんだか遺書みたいになってしまった。
「かがみすと卒業までに10本掲載してもらおう!」と立てた目標はギリギリ達成された。恐らくこの1本が11本目になっているはず。
30歳も目の前に差し掛かってくると、周りの友人だけでなく家族も新たな一歩を踏み出すようになった。この春、母は20年近く勤めたパートを退職し、出向していた父は元いた職場へと帰任した。そして、弟は一生を添い遂げる伴侶と新たな生活を始めた。
とある友人は久しぶりの子育てに苦戦しており、学生時代の先輩は、縁もゆかりも無い土地で新たな生活を始めている。
この2年間、何も変わらなかったのはきっと私だけだろう。
強いて言うと、この2年間で変わったのは、年齢を示す数字と体の重さを表す数字ぐらいだと思う。もちろん、どちらも増えている。
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そんな中でも、私が唯一胸を張って一歩を踏み出せたと思えること。それは、この「かがみよかがみ」に自分の思いを綴り、「お気持ち表明」を始めたことだと思う。私の知る限りこの一歩を踏み出せたのは、周りを見渡しても私しかいない。きっと誇っていいはず。
自分の文才を信じ、「せーの」で投稿ボタンを押した2年前の自分を褒めたいぐらいだ。
「かがみよかがみは『書く』力を信じています。自分の悩みや社会へのモヤモヤと向き合うことは、簡単なことではなかったはずです。サイトに綴られた言葉たちは、みなさん自身の背中を押し、同じ悩みを抱えた誰かのもとへ届きます。そしてそうした積み重ねが、社会を少しずつたしかに、変えていくはずです」
先日、投稿の謝礼としてギフト券をもらった際、送られてきたメールにこう書き添えてあった。何度かギフト券はもらっていたが、こんなことが書かれていたのはその時初めて知った。そして、このメールを見た瞬間、何かがストンと落ちてきたようで、思わずスクリーンショットしてしまった。
この2年間、少しのブランクはありながらもこうやって活動できたのは、きっとこの「書く」力で何か変わりたいと思っていたからだと思う。
現時点で何か変わったという実感はまだないが。
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30歳となり、この1本をもって、私は「かがみすと」としての活動から一旦卒業する。
ちなみに、今までもらったギフト券たちは、昨年末にワイヤレスイヤホンへと変わった。
ダイヤのネックレスに変えたというかがみすとさんもいたが、アクセサリーはどうも私の性に合わない。ワイヤレスイヤホンが一番しっくりきた。
私はこれからも、「書く」力を信じ続けていく。そしてまた、舞台を新たなところへと移し、「お気持ち表明」を細々と続けていくだろう。
この1本が、明日の1本が、私のいつかの一歩に繋がるように。
今までありがとうございました!
私の思いが、誰かの一歩を踏み出すきっかけになりますように。