雪の降る札幌で、私は初めて「男女の友情は成立する」ことを知った

全私の中で雪の思い出と言われて反射的に浮かぶシーン第1位は、大学3年生のクリスマスです。
そして第2位にランクインしたのが小学2年生、それ以降は思い出せません。
第1位に輝いた大学3年生のクリスマスは、幸せだったけど不幸せだったこと。
当時付き合っていた彼氏はとあるプレゼンコンテストに参加しており、私も彼の応援のためにバイトをして全国いくつかの都市に行った。
東京に住んでいたので、北海道、名古屋、香川、大阪などなど1回の遠征で数万円もかかる。大学生だしバイトもある。そこで私が選んだのが夜のお店、中でもデリヘルだった。
風俗バイトがつらすぎてものすごくストレスで疲れた。
おまけに私のことを気に入ってくれたお客さんがいたけどつらすぎで当日欠勤した。それもつらい。
私がそんなクリスマスに戻れたらしたいことは、応援をしない、ことだ。
彼女だから応援しなきゃいけないとかいう変な妄想に取り憑かれていた。
プレゼン大会という彼のオンに全く介入せず、オフだけを一緒に楽しむ世界線を生きている彼女でよかったのかも。
プレゼン大会の休みだけ私とデートして、リフレッシュしてまた頑張れるっていうお付き合いをすれば良かったのかも。
だけど、楽しかったし2度とできないような経験ができたことは確か。
雪が降る札幌。その日はメイク乗りも良かったし、(当時は気づいていなかった)双極性障害が躁でも鬱でもないフラットで居心地が良かった。
大事な日や楽しみな予定の時は鬱になりがちなのに、その日はどちらでもないから記憶がはっきりあって良かった。
大好きな札幌で楽しく過ごせて本当によかった。大好きな航空会社で朝早い便も素敵だったな。空が綺麗だったことも覚えてる。
そうだ、そのコンテストで1つ私の人生の中で決定的な学びを得た。
それは、男女の友情は成立するということ。
プレゼンコンテストに出ていた6名のメンバーは男女半々だった。
コンテストのスタッフも男女半々、そして私の周りに集まってきたのは男子ばかり。
そして、彼氏のプレゼンを二人三脚で作るメンターは女性、そして彼の仲のいいプレゼンメンバーはJKだった。
えっと、私以外に、というか私以上に密に話し合って電話しまくっている女の子が2人もいるんですよね?
ん〜と、それって大丈夫なのか?
男と女=身体絡みだと思っていた。
だけど、デートの対象にすらならない男女関係があると知った。
その雪の日以降、男子も女子も関係なくなった。
話が合う、目標が合う、それだけでいい。そこに男女は関係ない。たまたま男だっただけ、たまたま女だっただけ。
人間関係に対してかなりカジュアルになれたと思う。
性別問わず、肩肘張らずに関われるようになった。
ちなみに、この話は私の中では性自認や性的対象、の話ではないと思っている。
つまり、性別関係なく、人との密な関わりは必ずしも恋愛に繋がるわけではないということだ。
それを知ってから私は男女関係なく話しかけられるようになったし、世の中の男も女も関係なくなった。ただの人として見るようになった。
大学3年生の時に、社会に出る前に、この価値観を知れて本当に良かったと思う。
お恥ずかしながらどんな男性も恋愛対象になりがちだった私でしたが、無事変われました。
彼氏候補も友達の延長からのスタートだったからありのままの私でいられたし、変に身体とか関係なく誰かと付き合えるようになった。
合理的に誰かと関われるようになったような気がする。
唯一の懸念点といえば、ドキドキやキュンキュンを全くしなくなったこと、記念日をすっかり忘れるようになったこと。
恋愛感がなくなり、あくまでも人生を一緒に楽しむパートナーを探すようになった。
友達関係もそうだ。特にこうやって一皮むける前の高校の友達との付き合いも楽になった。
友達の恋愛相談に乗る時、私はこの雪の日を思い出す。
あの日までの私はどんなだったか、あの日私は何を得て、あの日私はどう変わったのか。
かなりターニングポイントになった気がしている。
そして第2位の小学2年生は、単純に大雪が降って坂道をソリで滑りまくったこと。
いっつも私のことをけなして、怒鳴ってくる母親がその日は機嫌が良かったし、友達とも楽しく過ごせたし、全てが揃って幸せだった。
3位から思い出せないのは、多分だけど睡眠薬とか鬱病のせい。雪が降った記憶はたくさんある。だけどその年に一体何をしていたのか、私が何を思ったのかを忘れている。
いろんなことを忘れてきたし、いろんなことを覚えられなくなった。いつかきっと、ターニングポイントになったあの雪の日も忘れちゃうのかな。すでに記憶は薄れてきている。今年こそ、記憶を守りたいと思う。
運動したり、寝る前のテレビやスマホやPCを我慢したり。睡眠薬を減らして、雪の日の記憶をまた思い出したいと思う。
そして、こうやって幸せな思い出を積み重ねていきたいと思う。
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