ピンクが好きと言えなかった私は、もう自分の好きなものを無視しない

私の「ピンクとの距離」は水色だ。
今は高校3年生の春休み。もう少しで大学生になる。あの時より、自分の好きなものが生活の中心にいる。幼稚園に入る前も入ったあとも、小学校になっても可愛いものが好きで、可愛いと言ったらピンク、ハート、ピンク色のディズニープリンセスのオーロラ姫が好きだった。だからランドセル筆箱その他全部ピンクだった。
お姫様がピンクを纏っていたから、私もお姫様になりたくてピンクを纏っていた。だけど中学年になりたての放課後、いつも通り友達と3人で遊んでいたある日に好きな色の話になったとき、私以外の2人が「好きな色は水色」と言った。
その時咄嗟に私も「私も本当に一番好きな色は水色」と言ってしまった。海が好きだからという初めて言う理由も添えて。その後2人は疑った反応をしたような気がするがそんなことは二の次だった。ショックだったから。
咄嗟に嘘をついたこと。好きな色はピンクと言っても2人は馬鹿にする様な人じゃない。そもそも日常で私はピンクをたくさん持っていたけどそれを揶揄ってくる人は誰もいなかった。
なぜ自分はピンクが好きだと言えなかったのか。自問自答した。3人のうちの2人が同じ色が好きで、仲間はずれにされるかもしれないという焦りもあったように思う。だけど自分でも薄々、ピンクをずっと好きで居続けるのは良くないと感じていてそれが決定的になった瞬間がこれだったように思える。
そこから私はピンクを止めた。変えれるもの全てを変えた。ランドセル以外の全てを変えたはずだ。ハートも星に、オーロラ姫はすみっこぐらしになった。小学校高学年に周りの好きなものばかり集めているのには少し注目を集めたい気持ちもあった。
買うときに周りの反応を想像して買っていたし友達に見せたのに反応が薄くてショックだったのを今でも覚えているから。でもこの理由に気づいたおかげで私は後々自分の好きなものを持つことができた。かえって、周りの反応が薄くてよかったと思う。もしも羨ましがられていたらいつまで続いていたか分からない。
中学校3年間はブラック期でシャーペンなど日用品は黒だった。特に理由はない。でも高校生に入ると自分の好きなものを意識して持つようになった。単に、周りは私が何を好きでいようが気にしてないということに気づいたし、自分の好きなものを持つことが自分の個性に繋がると感じたからだ。
好きなものを無視しない、そこから、今までの自分を抱きしめられた。今はオーロラ姫が好きだと堂々と言うし、グッズもたくさん持ってる。好きな絵文字はハートだ。相手に感謝や好きだという気持ちが直接伝わるのでお気に入りだ。水色が好きだったときの私は自分がなくて周りの反応や意見に合わせるような人間だった。
だけどピンクを好きでいるありのままの私は周りを気にせずに生きている。ピンクは私に堂々といる強さをくれた。優しさは強さなしでは成り立たないと思う。
人に優しくすることも、許すことも強さのもとに成り立っている。オーロラ姫などのプリンセスを見ると優雅さと、可愛さの中に芯がある。夢を諦めない姿勢だったり弱いものにも優しくすることだったりと様々だ。だから私にとってピンクは強さと優しさを兼ね備えた色だ。
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