有給は権利。なのに取りづらい風潮。この思いは誰に相談すればいい?

有給は、私たちに与えられた権利である。しかし、取りにくい風潮もある。積極的に有給を取得してもらおうと企業や国が働きかけているにもかかわらず、未だに取得しにくいと感じられてしまうのはなぜだろう。
実際、私が働く会社も、有給は取りづらい。小規模で人員も最低限しかいないのが大きな理由である。正社員として毎日出勤をして、パートよりも責任ある立場であるために、1日でも休んでしまうと業務に支障が出てしまうことを雇用主は懸念しているらしい。1人休むと仕事が回らなくなってしまう状態は、会社として本来あるべき姿ではないと私は思う。
仕事とは、誰がどの業務をこなしてもできることが前提だ。そのために業務内容を共有し、数人でチームを作り稼働している。業務時間内にできないことがあれば補完して、できるだけ退勤時間に全員が帰宅できるようにする。全員が自分だけの生活を送っているわけではないので、急な休みになることもあれば、自分都合、家族都合などで休みを取得したいときもある。毎日行くスーパーでも、たまに行く歯医者でも、いつも同じ人が自分の対応をしてくれている場所は少ないはずだ。もちろん、医者や行きつけの美容院など担当が決まっている人はいるかもしれないが、毎日どの時間に訪れてもその人が対応してくれるシステムはないはずだ。休診日、定休日、担当者の休暇などで対応できない日もあるだろう。そこをうまく調整して私たちも対応している。
ならば、専門的な対応が必要な人でも、対応できないことを伝えれば、それ以外の仕事をこの日の業務とすればよいのではないかと思う。毎日同じサービスを提供しなければいけないから、業務をこなせる人は休まないでほしい、これは通用しない。どんな人もたまには休暇を取りたい。長く働いていて、ほとんど有給を取っていない人もいる。そんな人が、ここぞというときに有給を使って何がいけないのだろうか。
私は定期的に休みを取っている方だが、連続では取っていない。私も、人員不足で迷惑をかけてしまうと考えての配慮をしているからだ。とはいえ、自分が持っている有給を何日、どのような理由で使おうと、私の自由だ。社員が休みたいと言っているのであれば、休暇は与えられて然るべき。やむを得ないときのみ会社側が拒否できることにはなっているが、よっぽどのことがない限り休暇の意思は尊重するようになっているはず。
必ず毎日、特定の人しかできない仕事が舞い込んでくることはない。誰かが補完できる仕事のほうが圧倒的に多い。それでもいろんな都合を付けて有給を取れない仕組みを成立させてしまっているのはなぜだろうか。この思いは誰に相談すれば良いのだろうか。
昨今、有給取得率は、就活や転職で重要なポイントのひとつになっている。年間休日とともに、ちゃんと休みが取れるかどうかは、優先順位が上がってきているはずだ。そのなかで、有給を取りづらい、休みを申請すれば断られるという環境は、今の時代にはあっていないかもしれない。会社との距離は離れていくだろう。少しばかり溝ができ始めているのも事実だ。これからも長く働くかどうか、考え始めている私もいる。周りでも、現状やこれからのことを考えて行動に起こしている人や、水面下で環境を変えるべく動き始めている人もいると聞く。
20代も後半に入り、年齢的にも、これから大きく変わる可能性を持っている世代に入ったからこそ、改めて会社との距離は考えていかないといけないと感じている。今の生活とこれから望む生活、必要なことと、叶えたいこと、いつまで同じ環境で過ごすのかは、この年代ならではの悩みかもしれない。
今まで働いてきた感触から考えると、会社は簡単には制度を変えない。これからも有給の取りにくさは変わらないと思う。それどころか、在籍年数が長くなるとそれだけ仕事に穴を開けられないと雇用側が思う可能性だってある。
やはり、今後について、今のうちに目処は決めておくべきかもしれない。今後私が納得して働くためにできることはしておこう。
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