「エッセイ 書き方」検索。25才ニート、エッセイという名の渦へ

「エッセイ 書き方」検索。
何故25才のニートが慣れない単語を並べながら夜中の2時過ぎだとも言うのにこのような検索をし始めたのか。
ニュースで早くも初夏の気温が観測され始めた4月下旬。夜中2時。私はニートだった。自分には何もない。そんな自己否定を毎日繰り返しながら自身の心を鋭い刃で削っていた。ただそんな暗く出口のない毎日の中にも心の拠り所、いや、精神安定剤と言っても過言ではないかもしれない存在があった。
小説。
私は小学生の頃から所謂小説が大好きな子供だった。毎日毎日図書館に通ってはある一定の本棚をめがけて一目散に、真っすぐと突き進んでいた。
「星 新一」
私は星新一さんの小説を毎日毎日読み漁っていた。星さんの小説にはなんとも言えない中毒性があった。ブラックジョークのような少し毒っ気のあるユーモラスなお話、登場人物をイニシャルのみで登場させる斬新さ、小学生の私はみるみる星新一ワールドにハマっていったのだった。
そこから中学生、高校生と様々な作者、作品と出会い、学生生活の中では所謂陽キャと分類される私も本質は活字中毒のただの根暗だった。本に、作品に没頭している時だけが唯一心が躍る時間だったのだ。
そして現在。25才ニート。転職活動中。そして変わらず心の拠り所は小説。
ありあまる時間の中で私は彼氏に教えてもらったピース又吉さんのyoutubeチャンネル「渦」にハマっていた。そのチャンネルでは又吉さんが本について語る事もあれば新社会人に教えておきたいこと、30代には辞めておいた方がいいこと等々魅力的な動画が沢山アップされていた。その中で私は又吉さんがエッセイを書かれているという事を知った。今まで知ってはいたが手を出してこなかったジャンル。なぜか気になった。いやなぜ?答えは分かっていた。
私は数ヶ月に一度生存確認という名目でただただ煙草を吸いながら6時間くらい最近の近況からハマっている音楽、昔話を語らう兄がいた。兄は東京に出てきて漫画家を目指していた。もうそろそろ自分の家に帰ろうかと考えていた寒い冬の夕暮れに兄が私にこう言ったのだ。
「お前、小説書けば?」
………は?
私は唖然とした。小説を読む専門の私が書くなど天才的なセンスと並々ならぬ気持ちで作品を世に送り出している先生達にそんな失礼な事は出来ない。遊びじゃないんだよ、坊や。そんな事まで口に出そうだった。
だが人間というのは面白いものでその日から私は自分の言葉で誰かに向けて、文章や物語を書いてみたいという気持ちが何故か大きくなり始めたのだ。
そして現在25才のニートがせかせかと思い立ち、夜中にこのエッセイと出会ったのである。私の最近うれしかった事でいえばこの大きな大きな一歩を踏み出したことである。
世の中には自分がやってみたくてもいつかやろう、時間があればやろうなどと後回しにしている大人達はたくさんいると思う。だが最初の一歩を踏み出してみるのは気持ちの良いものだ。春にこじつけて25才のニートがエッセイを書き始めたことを面白がってくれる皆様、あなたが後回しにしているいつかやりたいこと、今やってみませんか?
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