送別の言葉は「頑張るな」の一言。素直に受け入れて気づいたこと

私は入社して5年目、やっと今、力の抜き方というか、「頑張らない方法」を見つける事が出来た。
私は今年春から部署異動となり、関わる業務も全て変わり、正に心機一転、新しい会社で新入社員として働いている気持ちだ。
元々いた部署では、特に人間関係の不満があったわけでは無い。ただ、自分に任された業務がどうも周りがやらない、出来ない業務を無理矢理押し付けられている感覚があり、何より、自分がこれからの将来続けて行きたいと思える仕事では無かった。
ただ私は当時、やりたくない仕事、これからの未来に役立つ仕事でなくとも、求められる以上の仕事をしていた。何故か、しなければいけないと勝手に自負していたのだ。
そんな自分の思い込みもあり、毎日忙しなく、1分1秒と仕事のことしか考えられない、余裕が全くない日々を送っていた。
そんな中、丁度いつも私の仕事ぶりを隣で見ている課長との人事面談があった。
その面談では、私が将来何をしたいのか、どんな仕事の方向性を見ているかを相談した。課長は私の働きぶりを買ってはくれていたが、今後私が将来したい事を軸に考えると、ずっと同じ部署に居てはダメだと考えてくれ、上層部に無理言って私の目指したい部署まで導いてくれた。
3月末、前の部署での勤務最終日、その課長からの送別の言葉は、「頑張るな」のたった一言だった。私は初めそんな言葉を聞いて、衝撃を受けた。今まで人から頑張るななんて言葉言われた事も無いし、言われたら自分の働きぶりを認めて貰えなかったのだ、終わりだと考えていたからだ。そして何より、今まで、「頑張らなかった」ことが無かった。
だからこそ、力の抜き方や仕事の事を一切考えない、オフの過ごし方が分からなかった。
忙しなく過ぎて行く4月上旬、やっと新しい部署のメンバーを把握出来たという頃に、
私は新しい環境に疲れ果ててよく通っているバーに少し立ち寄った際、オーナーにこうアドバイスまがいな言葉をもらった。
「あなた、頑張り過ぎよ。いつも、いつも。前の上司に頑張るなって言われている時点で、あなたは普通以上の事が出来ちゃうの。それってとても素晴らしい事よ、でも時にはその特技があなたの強みが、あなたをとことん苦しめるの。皮肉よね」
私はそこでやっと気づいた。
「あぁ、もう私は一息ついていいのだ、無理しなくていいのだ」と。
バーのオーナーからの言葉は、今まで何度か人から言われたはずだ。
でもどうしてだろうか、その時はスッと自分の心の中に入ってきた。
とはいえ、そんな言葉をもらった次の日から仕事を適当にしたわけでも無いが、(私の性格上、全てにおいて適当に考える事が出来ない) 新しい課の上司から、テレワークにしなー、ゆっくり休んできなーと言われた際には、何も深読みせずに、有難い言葉を素直に受け止めることが出来るようになった。
するとどうか、まだ新しい環境に身を置いて一か月も経っていないが、何故か息がしやすくなった。頭がよく回るようになった。朝が起きやすくなった。うん、これこそ自律神経が整ってきたな、という感覚をここ数日味わえるようになった。
きっと私みたいな女性は多いなと思い今回このエッセイを投稿してみた。
最近は、テレワークだの、フレックスだの、飲み会は断って良いだの、大昔と比べると随分働きやすくなったのは事実。
ただその分、自分の限界を知らない人は、先ずは自分のものさしを見つけてから、自分にとって働きやすい働き方で思う存分働くのが賢明だと分かった。
今更ながら……とも思うが、一度のめり込んだらハマってしまう人、仕事、恋愛、そして趣味などの全てに対して、一度立ち止まってみて、私って今もしかして詰んでいるのかも?と気付いてほしい。
案外、力を抜いた瞬間に全て上手くいったりするものだ。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
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