突然既読がつかなくなった友達。大切だと思っていたのは私だけだった?

いつまで経っても付かない「既読」の文字。私は何回見返せばいいのだろう。
社会人になってできた、大切だと思っていた友達。
一方通行な気持ちだったのかもしれないが、いつも笑ってて、おしゃべりで、たくさん食べるあなたとの時間が楽しくて大切で特別な時間だった。
彼女と出会ったのは、初めて転職をした職場。中途で入職した人が多く、年齢、キャリアはバラバラだった。
私は仕事とプライベートをしっかり分ける派の人間だ。仕事中は仕事の話しかしないし、プライベートで仕事の人と会うことはほとんどない。側から見たら冷たいとも思われそうな人間だった。
しかし、心のどこかでは「仕事終わりに誰かと飲みにいければなぁ」という本心が、しぶとい雑草の根っこのようにびっしり生えていた。
転職後仕事にも慣れてきたとき、突然話しかけられた。
「飲みに行きませんか?職場の子何人かで!」
「もちろんです!行きましょう!」
私は二つ返事をしていた。「待ってました!」くらいの勢いで。
彼女とは誘われた飲み会で同い年であることが発覚し、自然と仲良くなり、気づいたら休みが合えば遊ぶほどの仲になった。
大人になるとなかなか友達ができなくなるとはよくいう。そんな、大人になってからできた同い年の友達だったのだ。
そんな彼女と急に連絡が取れなくなったのだ。
仲良くなったあと、私たちは職場がまたバラバラになった。
「今度の日曜日ひま?」
「めっちゃ暇!会お〜」
休みの日が分かると定期的に連絡をとっていたのに、それは突然だった。待てど暮らせど付かない既読。私の心にはぽっかり穴が空いたようだった。
社会人になって、予定が合う友達なんて本当にレアだ。特に20代後半になってくるとみんな結婚出産などのライフイベントで、予定なんて勝手に合わなくなってくるのに。
予定が合うだけではない、なんでも話せる友達というのは本当にありがたい存在なのだ。
そんな存在が突然いなくなったら、悲しい。いや、「大切な存在だと思っていたのは私だけだった」と虚しい気持ちにもなるが正解だ。
ただ、突然連絡が取れなくなるのは流石に心配だったので周りの人にも聞いてみた。
「なんか全然既読が付かないんですよね」
「私もなんだよね、そういえば〇〇もそうみたい」
私だけ連絡が取れないならまだしも、その周りとも連絡が取れないと聞いた。
彼女になにかあったのではないかとさらに心配にもなった。
しかし、確認のしようもなくただ時が過ぎ去るだけだった。
でもきっとどこかで元気に暮らしているんだとは思っている。
現代は連絡を取る手段が進化していて、毎日なにも考えず、その恩恵を受けている。簡単で便利で本当に素晴らしい。
ただ、簡単で便利だからこそ、希薄な関係の相手とも連絡を取れるようになり、相手の関係性の区別も難しくなっているとも感じる。
希薄になりがちな分、自分にとって重要な相手にさえ連絡を返さなくなってしまったり、希薄な相手こそ連絡を送ってしまったりする現象も起きてるのではいか。
世間にはこんな言葉がある。
「人間関係リセット症候群」という言葉だ。
ある日突然、今までの人間関係をリセットして、新しい人間関係を始めようとする人の行動である。
もしかしたら彼女は、この症候群の類だったのかも?と思う。
もう連絡が取れない上どうこう言えるわけもないが、リセットされた側は、かなり虚しい気持ちだとわかった。
友達とは深い関係性を大切にしている私にとって、ぽっかりと空いた心の穴はのぞいたらそこが見えないくらい深い。
これを誰が埋める?こんな深い穴、時間が経ったって誰も埋められない。
こんな深い穴が、連絡が返ってこないだけで空くとは思わなかった。
時間も経ち、気持ちはかなり昇華されたがたまに思い出す。
会って普通にカフェで喋って、いつのまにか外が暗くなってたことに気づいて、解散していたあの頃を。
だって、大人になってできた時間を忘れるくらい話し込むことができて、一緒にいられた友達だったから。
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