もともと辛いものが好きな私。そんな私が、無性に辛いものを食べたくなるときがある。
それは、月に一度やってくる──生理前のPMSの時期だ。
私はこの時期、食欲が増すタイプ。それに加えて、イライラや気分の落ち込みもひどくなる。一時期は、産婦人科にも通っていた。

そんなPMSのときに、決まって食べたくなるのが「辛ラーメン」。
韓国発祥の乾麺で、私にとっての"整いフード"だ。

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しかも、食べ方にこだわりがある。
水だけで茹でるのではなく、水300ml+牛乳250mlで作るのが、私流。牛乳で割ることで、グッとコクが増す。
まず、水と牛乳、加薬と粉末スープを鍋に入れて沸騰させる。そこへ麺を入れる前に、キャベツや玉ねぎ、にんじんなどの野菜を煮込むのが定番。野菜がクタクタになった頃、麺とソーセージを投入。仕上げに卵やチーズを加えるのは、その日の気分で。

夫と一緒に食べる日もあるけれど、私がいちばん幸せを感じるのは、ひとりで食べる辛ラーメン。
お行儀は悪いけれど、鍋のまま食べるのが最高なのだ。これがまた、ちょっとした"背徳感"を伴って、たまらなくおいしい。
鍋で食べれば、スープがなかなか冷めない。「熱い熱いっ」と言いながら食べるのも、辛いものの醍醐味だ。

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髪を結んで、前髪をピンでとめる。スープが飛んでもいいように、着古した部屋着に着替える。準備万端。
麺を勢いよく啜ると、熱さと辛さでむせそうになる。牛乳を入れたことで、麺によくスープが絡んで、むしろ辛さが際立つ。香辛料の刺激に、汗がにじみ、鼻も出る。
でも、気にしない。誰にも見られていないから。

無心で箸を動かし、一気に完食。調子がいい日は、スープまで飲み干す。
「ふぅ……」と、大きくひと息。心地よい疲労感と満足感に、ぼーっとなる。
私はサウナに行かないけれど、"整う"って、きっとこういう感覚なんだと思う。

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PMSの時の辛ラーメン。それは、私にとって「自分を満たすための儀式」。
カロリーがどうとか、体に悪いとか、そんなことはどうでもいい。
「食べたいから、食べる」
そう、自分を許してあげる時間なのだ。

食後、歯を磨こうと洗面所へ行く。鏡に映った私は、顔を火照らせ、目には涙、髪は乱れている。なのにふと、思う。
「あれ?今日の私、ちょっとかわいいかも」
きっとそれは、心が軽くなったから。