歩き方を習って、「着たい服」と「似合う服」の重なる部分を見つけた

今年の春から、歩き方のレッスンを受けている。
そんな話をすると、「歩き方って習うものなの?」と驚かれることが多い。
でも今の私は、「もっと早く知っておけばよかった」と心から思ってる。
きっかけは、仲の良い友人に「面白いレッスンがあるよ」と誘われたことだった。
月に一度、12~15人で行われるグループレッスン。
正直、最初は半信半疑だった。
歩き方なんて日常の一部で、わざわざお金を払ってまで習うものだろうか。
でも、試しに参加してみた初回、目から鱗が落ちた。
姿勢、足の出し方、視線の位置。ちょっとした意識の違いで、自分の体が軽くなったような気がしたのだ。
何より、講師の方がとても理論的で、体の仕組みに基づいた説明をしてくれるのが信頼できた。
体重もわかりやすく4キロは落ちた。
そんなレッスンの中で、骨格診断を受ける機会があった。
最近では美容やファッションの分野でもよく聞く「ストレート」「ウエーブ」「ナチュラル」という分類で、それぞれの骨格に合った服装や動き方の提案がされる。
私は「ウエーブタイプ」と診断された。上半身が華奢で、柔らかい素材や身体にフィットしたデザインが似合うとのこと。
実は普段からそういった服を選びがちだったので、内心「やっぱり」と納得した。
さらに、骨格に合わせた歩き方も教えてもらえたのが新鮮だった。
無理のない重心移動や、関節に負担をかけにくい体の使い方。
これまで「なんとなく」で歩いていた自分が、いかに非効率だったかを知った瞬間でもあった。
レッスンでは、似合う服の例もいくつか紹介してもらった。実際に私がいつも好んで着ていた服と似ていて嬉しくなった。
「可愛い」「似合っている」と感じていた自分の感覚が、客観的に肯定された気がしたのだ。
それ以来、「自分に似合うってこういうことなんだな」と、少しずつ自信を持って服を選べるようになった。
先日、ふと思い立って、自分の“理想のワンピース”を大好きなアパレルブランドでネットで購入してみた。淡いベージュピンクで、ウエストラインがしっかりある。
肩のラインは丸く、落ち感のある柔らかい素材。数年前の私だったら、「可愛いけど似合わなかったらどうしよう」と悩んで買わなかったと思う。
でも今は、「これは私に似合う」と自然に思える自分がいる。
そのワンピースを着て、街を歩いた日。なんてことのない日常のはずなのに、どこか特別だった。
電車の窓に映る自分の姿が、いつもより堂々として見えたのだ。
歩き方も、姿勢も、服も、全部がしっくりきていて、不思議と「私らしい」と思えた。
「似合う服を着る」ということは、単に見た目の話ではないと思う。
そこには、自分の体を知り、受け入れ、尊重するというプロセスがある。
そしてそれは、思っていた以上に自信を与えてくれるものだった。
この体験があってこそ、最近では、パーソナルカラーにも興味が出てきた。
似合う色や質感を知ることで、自分らしさをもっと表現できるかもしれない。
流行を追いかけるのではなく、自分に似合うもの、自分が心地よくいられるものを選ぶ。
そういう”あう”ファッションが、今の私にはしっくりくる。
思えば、昔は「着たい服」と「似合う服」は別物だと感じていた。
でも今は、その2つが重なる場所を少しずつ見つけられるようになってきた。
月に一度のレッスンは、そんな自分の変化をそっと後押ししてくれている。
お気に入りのお洋服を人に褒められた時、「自分を大切にするって、こういうことかもしれない」と思った。
着たいと思った服を、自信を持って着られるようになった今、自分のことを少し好きになれた気がしている。
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