社会人になると心からの友達ってなんだろうと思うことがる。学生時代の友人や地元の友人とは違う。同じ会社の同僚は友人というよりは戦友に近くて、純粋な友人という気持ちにはなれない。でもそんな私にも心から友人だと思える人ができた。

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その子は私の中学時代からの親友の元同僚で年齢は一つ上。私が夜中親友に唐突に「旅行行こうよ」と電話したのがきっかけだった。その電話をした時、親友と一緒に飲んでいたAさんが隣で会話を聞いていて、「私も行きたい!」と割り込んできたのだ。私も深夜テンションで「いいよ3人で行こう!」といったものの、お互い顔も名前も知らない。でもなんとなくフィーリングが合う気がすると思い、その時の自分の直感を信じてみることにしてみた。親友はいい人だから、その子の友人ならば良い人だろうと思っていた。

話はトントン拍子に進み、翌週には3人で恵比寿で飲んでいた。年齢は一つ上だが、友人の方が入社したのが早いから先輩らしく、Aさんが友人のことはさん付けで呼んでいた。お互いタメ口を使い、気も使わない存在だが、名前の呼び方だけはどうしても抜けないらしく、私もその影響でさんを付けて呼ぶようになっていた。

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その数ヶ月後には金沢へ旅行へ行った。Aさんの相手に気を使わせない空気感と、程よい距離感がとても心地よく、出会って数ヶ月とは思えないほど仲良くなれた。

Aさんと仲良くなれた理由はもう一つあり、とてもビッチだというところだ。

私と親友は自他共に認めるビッチ中のビッチで、魅力的な人がいれば自分からナンパするし、楽しそうなところであればとりあえず行ってみるという行動力お化けなのだ。まさかのAさんも同じような人間で、金沢に旅行した際は、せっかくだしいろんな人と飲みたくない?ということになり、飲屋街にあった相席ラウンジに行ったりもした。

大人になってからできた友人を思い返すと今までの人はなんとなくお互いに距離を感じてしまう人が多かったのだが、Aさんはそんな人たちとは全く違い、まるで学生時代も一緒に過ごして来たかのような安心感のある人だ。

それからはAさんとは親友抜きでも二人で遊びに行くくらい仲が良くなり、休日の前の日は朝まで飲み歩いたり、時には真剣に仕事の話や、これから先の人生についての話などもしている。大人になり、自分も相手もいろんな価値観を身につけてきたからこそ、いろんな角度から話し合いなどができてより深い関係になれるのだな、とAさんに出会って気づいた。

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学生時代に出会った人とはたくさんの楽しいことを共有してきたが、大人になってできた友人とはお互いの生活を優先した上で時には程よい距離感で、時には心からはっちゃけ過ごすことができる大切な存在。そんな人に出会わせてくれた親友には本当に感謝している。これから先の長い社会人人生でどんな人たちと出会うのかを考えるとワクワクしてきた。