小さい頃はちょっとずれた子だった私。
ともすれば周りは私を下に見ていたのかもしれない。
普通がわからず、ずれたことをしてしまうことも度々あった。
その頃は本当によく食べていたから、体もクラスで一番痩せている子より一回りくらい丸かった。
彼女らは、そんな私とも仲良くしてくれた。

周りに合わせることも覚え、こういう時はこうすればと掴めるように

地元の友達はちょっと目立つけど表立って何かすることは少なく、斜に構えているところがあった。

中学校を卒業して、食べる量が平均くらいに落ち着いたら体質のためすぐに痩せた。
これはいいことばかりでもないのだが、その話はまた次の機会に。

なんとか周りに合わせることも覚えた。
こういう時はこうすればいいんだと掴めるようになっていた。
だからそこまで変わり者でもなくなりつつあった。

皆で集まることもあったが、話から察するにどうやら私のいないところで他のメンバーは集まっていたようなのだ。
2人ならまだわかるが、もっと多い人数で。
私にはお声もかかっていない。
皆の話が周りを見下した世間話でつまらないなと思うようになっていたし、ついていけなくなり、腐れ縁で付き合う必要も感じなくなっていた。
一対一で話すと楽しいのだが、皆で集まった時の変な上下関係がいやになる。
そもそもなんで友達なのに上下があるんだ。
おかしいだろ。と思ったけど何も言わなかった。

昔は彼女らが大きく輝いて見えた。彼女らはちょっと目立つから、なんとなくそのグループにいるだけで良い立場にいるような錯覚を覚えた。だから自分がいじられることも、自分はそういう人だからだと思い込むことにしていた。
だからその中に入れてもらえることが嬉しかった。
彼女らといると、ちょっといい自分でいられる気もしたのだ。
ただ友達として一緒に居られることが、名前を呼んでくれることが嬉しかったのだ。
だからそれだけで友達のような気がしていた。
でも、「うちら友達だよね」って言うだけで、本当に友達なのかは謎だった。
友達って何なんだろう。そう思うようになっていった。

嫌気がさしていたのはわかっていたが、いつしか彼女らを下に見ていた

高校、大学の友達は、大人しい子が多かった。
そんなに目立つというわけでもないが、隠れていることもないような子たち。
皆優しくて、一緒にいて安心できた。
彼女らは進む道もそれぞれではあるが、日々苦労はあれど穏やかで暖かな暮らしを送っている。
何かに打ち込みすぎて流行の話も分からなくなくなっている私に文句を言うこともなかった。
困ったことがあれば親身になって相談に乗ってくれるし、それを笑い話にしたりはしない。
いつも応援してくれるから頑張ろうという気持ちにもなれるし、失敗したことも隠すどころか話して吹き飛ばしてしまえる。
そんな友人たちを有難く思い、尊敬の念まで抱いた。

昔は大きく輝いて見えた彼女たちだが、だんだんと彼女たちの幼さが目につくようになってきた。自分たちの価値観の中だけで生き、異なる意見を排す彼女らがだんだん小さく見えるようになっていった。
こうして距離を取ってみると、そんな彼女らと長い時間を共にしていた私もろくなものではなかったなとひしひしと感じる。

彼女たちは、下に見ていたはずの私が急に一人立ちしだしたことに焦りを覚えたようだった。
上手く行った話は極力しないようにしていたが、新しい場所でこんな風に誰かと話したとか、小さいけどこんないいことがあったなんて話にさえあからさまに興味がない様子を見せた。
昔から私の良かった話には興味がなさそうだったから避けていたが、この頃には本当に嫌悪感が露わになっていた。

今の彼氏ができたことで私の考え方もいろいろと変わった。彼女たちに対する幼いという考えはさらに強くなった。
それってどうなの?なんて口には出さなかったが、態度には出ていたのだろう。
彼氏のせいで変わってしまったのだ。と彼女らは感じていたはずだ。
結婚がどうだとか、聞かれてまともに答えた私もバカだったが、私のためだと散々貶され、そんな男はやめろと止められた。
最後通告も聞き入れなかった私に別れ際彼女らは「じゃあね。バイバイ」と言って離れて行った。
もう二度と会うことはないのだと悟った。
10年以上付き合ってきた仲だった。こんなにあっけなく壊れるとは。
意外にも込み上げるものはあったが、私の気持ちは晴れ晴れとしていた。
これでやっと片がつく。せいせいした。
むしろどうして今までこうしなかったのかと、何もしなかった自分のいくじのなさを恥じたくらいだ。

「〇〇ちゃんのこと、できない人って思い込んでない?」
この頃彼女らと会うことがなくなり、そのことを母にそれとなく聞かれて、やけになって中心人物の愚痴を少しだけしたらそう言われた。
寂しかっただけだろうとも言われた。
しかし彼氏のことを散々悪く言われた私は黙っていられなかった。

文句を言うばかりで行動に移さず、いつまでも同じところにいる彼女らに嫌気がさしていたのはわかっていたが、私はいつしかそんな彼女らを下に見ていたのだ。
彼女らを悪く言える立場ではなかった。
きっとこう思うようになったのは私の方が先だ。私が撒いた種だった。

彼女らは何も変わっていない。変わっていないからこそこうなのだ

それでも素直にはなれなかった。
もう面倒になって、修復しようなんて気は起きなかった。
最初からあの子達は自分のことしか考えていない。私のことなんて、考えてはいないのだ。
それが当たり前だと思っていた私の考えも変わった。だからもう、付き合えない。

後日その中の一人に、中心人物の彼女についてどう思っているのかもごもごと聞かれたので「私はあの子とは合わない」とはっきり言った。
これでもう完全決裂だ。
彼女がこの結末を予想していたのかいなかったのかはわからないが、聞いてきた友人含め全員と疎遠になった。

後悔はない。
人脈は時に心強いが、友人関係くらい好きに決めればいいんだろう。
それでも昔の写真を見ると懐かしさがこみ上げる。この頃は良かった。彼女らは変わってしまった。
いや、本当に変わったのは私の方だ。
彼女らは何も変わっていない。変わっていないからこそこうなのだ。

私も悪かった。それは認める。
でも彼女らはきっと、私が折れて修復という形を望んでいる。自分が謝る気はまったくない。悪いとも思っていないんだろう。
そんな一方的な関係なんかご免だ。
だからもう、彼女らとは二度と会うことはない。

「いつまでもこのままで」
こんな言葉にぞっとする。
なんでこうなる前にそっと距離をとることができなかったんだろう。
そうすれば、どこかでばったりあった時に笑顔でいることくらいできたはずだ。
それでも、こんな最悪な形になってしまっても、私は彼女らと離れる決断をして良かったと思えてならない。