あなたのことが、“大好きだった”。だから、私は振った。

彼は、1歳年上の同じサークルの先輩。一目見たときに顔とか雰囲気がすごく大好きで、友達にも「推せる!カッコイイ」って言ってた。同じ高校の先輩が彼と同じ学科で仲が良かったから、自然と話すようになったりカラオケに行ったりした。でも、この自然は私が彼と話したくて会いたくて作った“自然”だった。

追いかけ続けた彼とやっと「キス以上」の関係に。でも、遠く感じた

私はたくさん追いかけた。追いかけて追いかけて、ある夜私と彼はキスをした。嬉しかった。彼はそれまでたくさんのキスをしてきてるのを知ってたし、私はその1人にしか過ぎないことも分かってた、でも、嬉しかった。

それからも、追いかけて追いかけてキスしていた。ある日、彼に言われたのが「もう会うのやめよう」だった。なんとなく理由は想像がつくし、聞いたら悲しくなることも分かってたのに、私は「どうして?」と聞いてしまった。彼は「こんな関係を続けても君のためにならない、間違っている。だからやめよう」と言った。

私は、たくさん泣いた。想像していた通りのそのままの答えだった。あなたはこれまでたくさんの人と間違えてきたのに、どうして私はダメなのか。今までの、顔も名前も歳も知らない人間に嫉妬して、悔しくて彼に困らせると分かっているのに、本当に最後になってしまうのに私は言ってしまった。「最後までしたい。お願い」と。

今まで私たちは、キスと少しの触れ合いしかしてこなかった。私は経験が無いことを彼は知っていたから、きっと面倒事は避けたいから最後までしなかった。でも、私は最後の抵抗として、少しの望みをかけて求めた。そして、私達は繋がった。だけど、とても遠かった。

大好きな彼と恋人になれたけど、私たちは少しずつ変っていった

勇気をだして泣いたこと、求めたことは間違っていなかった。彼から「会いたい」って初めて言ってくれた。「もしかしたら、俺は君のことが好きなのかもしれない」そう言ってくれた。もしかしたらって、とても無責任な言葉かもしれないけれど、彼は簡単に断言する事を無責任に思う人だからこう言ったんだろう。

友達にも先輩達にも「やっとか」って言われるくらい時間はかかったけど、恋人になれた。でも、落ち着いた時間は長く続かない。

「俺、学校に行けなくなる。会えなくなるかもしれない。この先どうなるか分からない」と言われ、それから1ヶ月は彼も私も不安定で、生きるのにお互いの存在がないといけないという完全な共依存していた。

それから彼は一人暮らしをしている私の家で、週の半分以上を過ごすようになった。バイトの日にだけ実家に帰る。そんな生活だった。会えなかった生活から一変して、すごく幸せな時間だと思ってたけれど、ここから少しずつ変わっていった。

彼を支えたい一心で、私は生きていた。今思えば、この時の私はボロボロだった。彼が中心で、自分よりも彼を大事にしていた。でも、ふとした時に「なんでだろう。幸せなのかな」と思ってしまった。

彼のことを好きだったから、好きだったのに…私は苦しくなった

ふたりの時間は、確かにあったかもしれないけど、私は“ふたり”と思えた時間はとても少なかった。金銭面や時間的余裕を彼は理由にしていたし、大変なのは私も理解していた。理解していたつもりだった。

でも、苦しすぎた。彼に「好きだよ」と言われた時「私も」と返せなくなった。周りに愚痴を言っていた。友達に「とか言いつつ好きなんでしょ~」って言われた時、私は少し考えて
「好きだった」と答えてしまった。

私は、彼のことが好きだった。好きだったから、ふたりの時間を彼のために使った。好きだったから、私の時間を彼のために使った。好きだったから、好きだったのに私は苦しくなった。

私は彼に別れを伝えた。もちろん、彼は納得できなかった。最後の話し合いで、彼は最後まで私を見ていなかった、私を知ろうとしていなかった。誰かの歌詞じゃないけれど、「もっと私を見て欲しかった。私はちゃんと好きだったよ。さようなら」。