覚えていない父は写真の中で、サンタクロースの姿で母と笑っていた
デビュー50周年を迎えたユーミン、丸ビル20周年、新丸ビル15周年を祝う「Marunouchi Bright Christmas 2022~YUMING 50th BANZAI!~」とのコラボ企画です。通常募集時の1500字程度よりも短い180~500字程度のエッセイとなります。
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自分が両親の愛の結晶だなんて思わなかった。ある写真を見つけるまでは。
私が2歳になる前に、二人は離婚した。
私は父を覚えていない。二人がどんな夫婦だったかを知らない。母は父についてあまり話さなかった。
でも、それこそが答えな気がした。好きの反対は無関心である。
そして思う。少なくとも今、私は二人の愛の結晶なんかではないのだ。別に悲しくもないけれど。
ある日、写真を見つけた。私が生まれる前の年の写真だった。
サンタクロース姿の父が、母の頬にキスをして幸せそうに笑い合っていた。
恋する乙女の顔をした女性。優しい目をした男性。
あの年、母にはサンタがいたのだ。
なぜか、胸がじんわり温かくなった。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。