突然だけど、私は本を読むことが大好きだ。
エッセイはもちろん、小説や絵本にファッション雑誌、料理のレシピ本や旅行雑誌を眺めるのも大好き。だから、普段の買い物は欲しいものだけを購入して数分で終わることが大半だけれど、書店はそうもいかない。本特有の紙の香りも好きだからなのか、あらゆる紙製の本が好きな私は目を引く表紙やインパクトのある帯に引き寄せられて、目的外のものまでついつい見入ってしまうので時間があっという間に溶けていく。

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自宅の部屋を大好きな本でいっぱいにできたらどれだけ幸せだろう。
でも、一人暮らし1LDKの部屋にはそんなにたくさんの余裕はない。だから書店や図書館は私にとってはディズニーランド並みに夢のような場所であり、私にとっての活力の源であるパワースポットだ。

特に図書館は、自分の読みたい本を借りて自宅へ持ち帰って読むことができる。何当たり前のこと言ってんだ、と思われるかもしれない。だけど「読んでみたい!」と、気になる本を書店でいくつか見つけたとしても、そのすべてを購入しては金銭面でも、スペースの面でもいくつもの支障が出る。だけど、ここではそれが当たり前にできる。これって本当に素晴らしいシステムだなぁと思う。

幸運なことに通勤途中には町の図書館がある。私は仕事帰りにそこで本を数冊借りてから帰路につくことが多い。検定試験が控えていたり、繁忙期に差し掛かりそうになったりする時期には本当に読みたいものを厳選して数冊借りて帰るけど、たっぷり余裕がありそうな時は貸出可能上限の10冊分本をゆっくり選んで借りて帰る。

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いつものように図書館へ立ち寄り、ぐるぐると館内を回りながら「読みたい」を刺激される本たちを探す旅にでる。歩きながら手に取った本を1冊、右腕に抱えてまた歩き出す。どんどん右腕への負荷は増していく。

近日中に京都へ行く予定があるから、ガイドブックを1冊
心が最近荒んでいるのか…目が離せなくて思わず手に取った、かわいい絵本が2冊
NISAの勉強をするために読みたいと思っていた金融関係の書籍が1冊
タイトルがめちゃくちゃ面白そうで気になった小説を1冊
大好きなすみっコぐらしのレシピブックを見つけたのでそれも1冊
全然行く予定は無いのだけど、台湾のガイドブックを1冊
懐かしくて思わず借りた、小学生時代によく読んでいたシリーズの本を1冊
「簡単」と「作り置き」というワードに惹かれた料理の本を1冊
偶然貸出可能になっていたので読みたかったファッション雑誌を1冊

あっという間に上限の10冊に達してしまった。まだまだ気になるものはあるけどまた次に借りに来よう、と後ろ髪を引かれながら図書館を後にする。10冊もの書籍を持って帰るのはいつも大変だけど、それ以上に家でゆっくりと読めるワクワク感がいつも勝る。ずっしりとした幸せを大切に抱えて私は帰宅した。

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久々に予定が一日フリーの土曜日。掃除や洗濯など家事を一通りこなした後は、本の海に飛び込む。
キッチンにある数種類の紅茶の中から飲みたい気分のものを選んでお茶を淹れる。今日は、ダージリンにすることにした。お土産にクッキーを貰ったからそれも一緒に数枚お皿にだす。お気に入りのティーカップとかわいいお皿に移すだけで、一気にカフェ気分になってテンションも上がる。

静かな部屋で図書館から借りてきた本たちをすべて広げ、直感で気になったものから読んでいく。窓を開けているから、カーテンになびきながら流れ込む風が心地いい。

最初に手に取ったのはかわいい動物の絵が描かれた絵本でページ数が少ないからあっという間に読み終えた。かわいいイラストにはもちろんだけど、最近忙しくて忘れかけていた大切なことを絵本のおかげで思い出せた気がして、ずいぶんと元気をもらえた。

次にタイトルに惹かれて借りた小説を読んでみた。確かにタイトルは面白かったけど、内容はあまり私には刺さらなかったものだった。だけど、あまり刺さらなかったな~と思えるのも、気軽に気になったものを借りることができたから。書店で購入したものだったならきっとショックはもっと大きくて、無理してたくさん読んでこの本を好きになろうとしていたかもしれない。その一方で「平凡な日常も、私が主人公の物語になる。自分を好きになれた世界観」でも書いたように、何度も借りるくらい気に入って書店で購入した本もたくさんある。

旅行のガイドブックをめくって京都で行きたい場所もたくさんピックアップできたし、台湾のガイドブックはいつか本当に行きたいと思うくらい、とても素敵な内容だった。いつだってページを開くだけで旅行気分を味わえるし、訪れたことのない場所のガイドブックをこれからもたくさん借りたいと思った。

冷蔵庫にあった舞茸で早速レシピ本に載っていた作り置き料理にも挑戦してみた。また1つ新たな料理を覚えた私はふんふん、と上機嫌で他にも作り置きをこしらえて、月曜からの毎日を乗り切る下準備ができた。NISAの本は開こうともしなかったから勉強はできてない…けど、まだ貸出期間は十分残っているから、まぁいっか。また月曜日からゆるく読みながら進めようと思う。

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癒しの海、旅行の海、物語の海、料理の海…
本のおかげで様々な世界の海に飛び込んで泳いだ楽しい時間はあっという間に過ぎていった。またすぐに月曜が始まり、仕事だらけの日々がやってくる。毎日やることがたくさんあって、それをこなしているうちにいつの間にか1日が終わってしまって泣きそうになることもある。

そんな毎日を過ごしているのはきっと私だけじゃないはずだ。お金が無くても、心が荒んでいても、ほんの少し思考を変えたり工夫を凝らしたりするだけでお金をかけずに、楽しい時間を過ごすことができる。そしてそれが心の修復に繋がることもきっとある。

今は繁忙期で心に余裕がない状態の私だけど、もう少ししたらまた余裕が生まれるはずだから近いうちに私にとってのパワースポットへ行こう。そして、両手いっぱいに本を借りてまた色んな世界の本の海に飛び込みたいと思う。