日本海側の田舎で暮らす私にとっては、11月も半ばを過ぎれば冬である。少し前の、異常なほど澄んだ秋晴れを最後に一気に冷え込んだ。

今頃は私にとって、冬であると同時にクリスマスであり、年末でもある。本格的に年末に入る12月を前に、今年何もしてないのにもう終わっちゃう、と急にあせり出すのが通例だ。

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ちなみに、私は文系の学部生で、今は4年の後期なので、本当に何もしていない。ちょうど何かせねばと1人旅の計画を立てているところである。

「よかった、クリぼっちは俺だけじゃない」と友達から言われ、自分が何年も「クリぼっち」であること、それが世の中にとって「可哀想」であることを思い出した。

今年のクリスマスは、イブが日曜、当日が月曜というスケジューリング。まあ週末に被ってるし、なかなかよい日程なんじゃないでしょうか?友達からは「何もよくねえ」とツッコミが入る。

1人旅の計画などを立て、こたつの中でニコニコしているだけの人間は、いつの間にか「クリスマスなんつうものありましたね」みたいな、「あの頃は若かった」とでも言いたげな顔をしている。

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クリスマスといえば、12月25日は、保育園からの幼馴染であるMちゃんの誕生日である。私たちは園で一番仲良いもの同士だった。その後同じ小学校に入ったが、私はそこで、22歳になった現在もなお深い関係を持つ、大親友との出会いを果たす。

私がその子とばかり遊ぶようになった結果、Mちゃんをすこぶる嫉妬させた。私が少しでも気を使えれば良かったのだが、小学校1年生にそれは難儀というものだ。大好きな親友と遊びたい私、私と遊びたくて、親友への嫉妬心からイジワルしちゃうMちゃん、それに見向きもしない親友。7歳にして初めての三角関係に苦しめられた。

それからMちゃんとは疎遠になったが、中学に入り部活が同じになって、また関わるようになった。家が近かったこともあり、2人で公園に行ったり、お互いの家に上がって遊んだりすることさえあった。

それでも、ウチら昔仲良かったよね、なんて話は全くせず、その辺りの話題はタブーに近かったと思う。Mちゃんあの頃嫉妬に狂ってたよねなんて言ったら、何をされるかわからない。彼女は天然っぽくてミステリアス、平たく言えばちょっと変わっただった。

高校からは別々の学校に通うことになり、最寄りのバス停でたまに顔を合わせる程度の関係になった。彼女は今年で23歳を迎えるが、今ごろ何をしてどう過ごしているのかよくわからない。SNSで見る限りではなんだか楽しそうなので、それで良いと思った。

Mちゃんに限らず、地元の知り合いなんてその程度なのだ。あれだけ長い時間一緒に過ごしたのに、と少し寂しい気持ちもある。

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クリスマスと聞いて、いの一番に彼女のことを思い出すくらいには、イベントとしての思い出がない。もちろん幼少期には家にツリーを飾ったり、サンタさんが来て、欲しいプレゼントを届けてくれたりということはあった。一体何をもらっていたんだか。それくらいあいまい。

大人になって、誰かと一緒にクリスマスを過ごしたことがあるだろうかと考えたら、思い出したくない元恋人の顔が浮かぶのでやめた。多分だが、その人とは一緒に過ごしたことがあるし、別の人からは、それを目前に振られたこともある。

他にも、何も考えずに25日にシフトを入れて、当然のようにアルバイトに出たこともあるし、その帰り、見なくていいはずの同級生のストーリーが、キラキラ眩しくてため息をついたこともある。

私の記憶の中で目立っているクリスマスコンテンツたちは、なんだかこう散々なのである。だから私にとって、クリスマス=Mちゃんの誕生日、としているのが実は一番平和なんじゃないかとか思った。