幼少期から、人見知りで何事も受け身になりがちだった私。一人っ子で大切に育てられてきたせいか、「自分が動かなくても周りが何とかしてくれる」という甘い考えを持っていた。それが将来、人生で最大と言っていいほどの悩みに繋がるとも思わずに。

最初は、近所の人たちに「大人しい子だね」と言われる程度だった。小学生になると、授業で当てられても答えを言えない。中学や高校では、部活やクラスで嫌な思いをしても、黙って下を向いているだけ。こんな学生生活は充実しているなんて言えないし、全然楽しいとは感じなかった。

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コミュニケーションが苦手。自分からはほとんど話しかけられない。とにかく勇気がなかった。こんな自分が本当に嫌だった。周りの子たちが当たり前のように本音を言えたり、積極的に話しかけて友だちを作っていたりするのを見ていて羨ましかった。

上京してから、変わるために少しずつ努力した。短大では、アメリカの語学研修へ一緒に行くメンバーに積極的に話しかけたり、みんなで話しているときにウケそうなことを言ったりしてみた。「天然で可愛い」と言われるようになり、仲良くなることができた。コミュ障の私が、英語でコミュニケーションを取れるようにもなった。

語学研修を終えて帰国してからは、色んな子と話せるようになって、友だちがたくさんできた。授業で積極的に発言できるようになって、成績が上がっていった。資格取得や部活など、自分から挑戦しようと行動できるようにもなった。短大で頑張れたおかげで、学内推薦での大学編入が決まった。

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大学でも私の努力は続いた。英語でプレゼンテーションする講義を受講し、講師と30人ほどいる学生の前で堂々とやり遂げた。緊張して声が震えたけれど、英語の文法力とスクリーンに映した面白い画像で補って乗り切った。個性的なメンバーが揃っていたゼミでも、グループワークは率先して動いたし、教授の元へ頻繁に質問へ行くようにしていた。大学でもコミュニケーション力をアップさせることができた。

社会人になっても、コミュニケーションは必須。色んな出向先でお世話になって、忙しそうな社員さんを見ると質問するタイミングに迷った。中には怖そうな上司がいる所もあった。他の人が怒られているのを見たせいで、最初はビクビクしていた。でも、「聞かないと仕事が進まない」と自分に言い聞かせ、当たって砕けろ精神でどんどん質問しに行った。実際、全然怒られることもなく教えてもらえたし、どの出向先でも高評価をもらうことができた。

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人見知りで受け身だった私が変わっていくのを、見てくれている人たちがいる。私を応援してくれている母も、私を昔から知っている親友も、ずっと私を温かく見守ってくれる気になるあの人も。「本当に変わったよね」「努力していてすごいね」と言ってくれる。「こんな自分はダメだ」とずっと塞ぎ込んでいたら、きっとこんなにも人として成長することはできなかったかもしれない。

「変わりたい」という気持ちを強く持つこと。「こうなりたい」と具体的な目標を持つこと。
それから、失敗を恐れず、勇気を出して行動すること。すべてできたから、今の私がいる。

最初から打ち解けられる人は少ないし、私でも、すぐに話しかけるのはいまだに難しい。どんなに時間がかかっても努力をすれば、きっと人見知りを克服できるようになると信じている。脱人見知りのために、私の挑戦はこれからもまだまだ続く。