今年は5年に1度の年金制度改革の年、ということで最近はSNSでも年金が話題になっていますね。年金というと、老後のためだけのものと思っている方も多いのではないでしょうか。
保険料がとにかく高くて、でも老後のことなんかわからないし、若い世代は払い損になるのでは……という声もよく聞きます。
そんなちょっとネガティブな印象を持ちがちな年金ですが、制度のことはよく知らない方も多いはず。年金制度の基本を、まずは知ってみましょう。

国民年金と厚生年金。会社員は両方払っている

そもそも年金とはどんな制度かというと、老後の暮らしや、事故などで障害を負ったとき、一家の働き手が亡くなったときに暮らしを支えあうための社会保障の仕組みです。
どうしても老後のものというイメージがありますが、老後のための老齢年金だけじゃなく、障害を負ってしまったときのための障害年金、そして自分がもし死んでしまったときのために家族にお金を残す遺族年金は、老後だけではなく、現役時代の今でも関係のある年金なんです。

そして、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2階建て構造といわれています。
フリーランスの方であれば国民年金だけ、会社勤めの方は基本的に国民年金にプラスして厚生年金にも加入することになります。

年金を払わないことはできるの?

国民年金保険だけでも月額16980円(2023年3月~24年4月)。額も大きいので、できれば払いたくない…と思う方もいるかもしれません。
会社勤めであれば、年金の保険料は会社がお給料から引いて納付する形になるので、私たち自身で納付をする必要はありません。国民年金の場合は、自分で納付をすることになります。
年金保険料は必ず支払わなければならないものなので、払っていないと督促がきます。まずは手紙で届き、さらに支払わないと延滞金なども発生します。延滞金を滞納し続けると、最悪の場合には差し押さえになることも。
年金については支払わないという選択肢はとれないことになっています。

学生時代は払ってなかった!知っておきたい追納制度

年金は20歳から払うものですが、そのときは学生だったという方もいますよね。
学生の場合でも保険料を払う必要があるので、親が代わりに払ってくれた方もいるでしょう。そして学生納付特例制度といって、在学中の保険料の納付が猶予される制度もあり、その制度を利用していたという人もいるはず。こちらは在学中には保険料を支払わなくていい制度ではありますが、支払いが免除されるわけではなく、あくまで一時的に支払いが猶予されているという状況。なので、この制度を使っている人は、普通に満額の保険料を払っている人よりも、払っている保険料が少ない、つまり将来もらえる年金もその分少なくなっているという状況です。
そこでぜひ知っておいてほしいのが、学生納付特例を使っていた場合は、10年以内であれば保険料の追納が可能だということ。追納の申請書を作り、近くの年金事務所に申請をすることで、納付書をもらうことができます。こちらの納付書をもとに保険料を納付することで、猶予されていた期間の保険料をきちんと納めることができるのです。

そして、支払った保険料は年末調整の際などに提出すれば、「社会保険料控除」という形で税金の控除を受けることができます。

若くて健康だとなかなかありがたみの実感がわかないかもしれませんが、もしも何かあったときに頼れるのが社会保障の制度です。
自分がもらう立場になったときに後悔しないように、きちんと納め、できることはしておきましょう。