スマホの画面に映る「採用中止」という4文字。
たった4文字がこれまで積み上げてきた私の努力と希望をバラバラに切り刻んだ。

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大学4年生だった2020年の春。未曾有のコロナパンデミックが発生し、就職活動は一変した。

「コロナの情勢より選考を中止します」
「コロナの影響により最終面接は中止とさせていただきます」

選考や募集の中止メールが1通、また1通と受診ボックスに増えていく。メールが届くたびに、「あなたは社会から必要とされていない」と告げられている気がして世界が真っ黒に映った。

どうしてこんなにも心が痛いのだろう。

答えはすぐに浮かんだ。
それは、小さい頃からの夢である「空港で働きたい」という思いが強くあったからだ。

空港という場所は私にとって特別な場所である。私は小さい頃に家族と旅行に行ったときに空港内で迷子になった。空港には大きな飛行機、かわいい空港のマスコットキャラクターなど、小さな私が心惹かれるものが溢れていた。

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大きな飛行機をじっと見つめていたら、気づいたら両親の姿がなかった。ワクワクな気持ちが消え、不安な気持ちが込み上げる。

「おかあさん、おとうさんどこ?」

今にも大声で泣きそうになっていたところに1人の女性空港スタッフが近づいてきた。

「こんにちは。お嬢ちゃん、おとうさんとおかあさんは?」と優しい声で話しかけてくれた。

私は泣き出してしまい、うまく会話ができなかった。しかし空港スタッフの方は迷子ということを瞬時に見抜き、「大丈夫。お姉さんがおとうさんとおかあさんを探すからね」と優しく手を繋いで迷子センターに向かった。

迷子センターには両親が待っており、2人の姿を見た瞬間に安心感が広がった。

あのときの体験で「空港は特別な場所」として心に残っていた。

中学生になって、本格的に空港で働きたいという夢を抱いた。「空港で働くには、英語が必要」と考え、英単語やリスニングを毎日勉強した。大学では、迷子になった空港でのインターンシップや国際スポーツ大会の言語スタッフのボランティアなどに挑戦した。

就活もキャリアセンターの利用やOG訪問も積極的におこなった。すべては夢を実現するため。「私も小さい頃に出会ったスタッフのように空港で働ける」と信じていた。

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しかし、積み重ねた努力はコロナによって一気に崩れた。努力すれば、夢は叶うと信じていたのに、努力ではどうにもならない現実が私の心を突き刺す。

「私の頑張りは無駄だったの?」

自分自身を責め、心がボロボロになった。

就活中に燃え尽き症候群になり、唯一内定をもらった会社に入社した。
入社した会社の社風や人間関係に悩み、1年で退職した。

「これまでの積み重ねた時間や想いが意味を失ったと思えた」

その挫折が、後に私に新しい夢が誕生することになるとは、まだ気づいていなかった。

転職した社会人3年目の秋、空港で働くという夢は冷めていた。しかし、私は自分の人生はこのままでいいのだろうかと自問していた。

そのときに転機となったのが、キャリアスクールの無料体験レッスン。特に体験レッスンで見たライティングのコースに心惹かれた。大学のゼミでは、100ページ以上、10万字の卒論を書くことが必須だったが、苦ではなかった。

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「ライティングを学んで仕事に繋げたい」という新しい夢が芽生えた。その思いが消えないうちにキャリアスクールに入会した。

最初は不安もあった。しかし、人生をより良い方向に変えたいというたくさんの仲間と出会ったことで、「再び夢を叶えたい」というポジティブな気持ちになれた。

夢は必ず叶うとは限らない。しかし、叶わなかった夢が種となって新しい夢と繋ぐことがある。私はこれからも新しい夢を見つけながら人生を歩んでいきたい。