「エッセイを読んで人生が変わった」読者だけ座談会レポート
かがみよかがみでは、これまでたくさんのエッセイを紹介してきました。書く人あれば、読む人あり。エッセイは書いてないけれど、ずっと熱心にサイトを追ってくれている読者の方は、どんな風にエッセイを読んでるのだろう。リアルな読者の声が聞きたい!と思い、6月30日の夜「読者だけ座談会」をオンラインで開催しました。
かがみよかがみでは、これまでたくさんのエッセイを紹介してきました。書く人あれば、読む人あり。エッセイは書いてないけれど、ずっと熱心にサイトを追ってくれている読者の方は、どんな風にエッセイを読んでるのだろう。リアルな読者の声が聞きたい!と思い、6月30日の夜「読者だけ座談会」をオンラインで開催しました。
参加してくれたのは、エッセイは投稿していない、現在「読む専」の4人のみなさん。推しエッセイ紹介から、エッセイの意外な読み方まで、根堀り葉堀り聞いてきました!
大学4年生。ファッションが大好きで、白シャツとデニムのシンプルコーデが似合う人になりたい。
ちくわの磯辺揚げが大好きな大学院生。ハッピークィアライフを満喫中です!
社会人一年目。眠るとたいてい鮮明でおかしな夢を見ます。駄洒落と犬が好き。
化粧品業界勤務の社会人2年目。仕事でもプライベートでもコスメのことばかり考えています。
推しエッセイの紹介は、1人2、3本を目安に持ち寄ってもらいました。字数の関係上すべては紹介しきれなかったので、末尾に一覧と選んだ理由をまとめました。ぜひ見てみてくださいね。
ーー早速なのですが、みなさんは、エッセイ書こうと思ったりしますか?
たー:書きたいなって思ったことはあります。でも、しんどかった感情や経験を思い出すことに、すごくパワーが必要で。最後まで書ききれたことないなぁ。
すや眠:私は、エッセイを読んで共感すると、自分のモヤモヤが昇華されるんです。だから、書く前に読んで、すっきりしちゃうことが多いかもしれない。
一同:分かる!!!
たー:自分のモヤモヤが言語化されたエッセイに出会ったとき、本当に救われるんだよね。言語化してくれてありがとう...って気持ちになります。
ーーみなさんの推しエッセイを教えてください!
natsuno:私は、「私が勝手に作ったヒエラルキー『アパレル店員さんがこわい』」というカンダさんのエッセイです。実際アパレル店員として働いていたので、Twitterでタイトルを見て、すぐに読みました。よかれと思って話しかけていた接客が「攻撃的」と捉えられることもあるのかって驚きました。
お店からの圧もあるので、ガンガン話しかけてたけど、エッセイを読んでからは頻度を落とすようになりました。接客の仕方が変わりました。
たー:すごい、実際の行動まで変わったんだね。私は、「恋愛するのは普通」という風潮への疑問を書いた「恋愛経験がないのはやばい?私は固定概念に苦しめられたくないだけ」というluna.さんのエッセイ。とても共感しました。自分は12年に1回くらいしか好きな人が出来ないし、周りにアセクシャル(性的欲求や恋愛感情を持たないセクシュアリティ)の友人も多かったから、恋愛経験がなくても当然なことなのにってずっとモヤモヤしていました。そのモヤモヤを言語化してくれたエッセイだったな。
すや眠:うんうん。共感したというと、身体の細さへの悩みが綴られた「細すぎる自分の身体が嫌い。でも本当は全部ただの個体差じゃない?」というChihiroさんのエッセイ。悪気なく身体の特徴に言及される経験が多くて、悩みが似ていました。
私は背が170cm以上あって、初対面で背の高さに触れられることが多い。「女のくせに背が高くてかわいくない」って言われた経験があって、身長に対して何か言われることがいやでした。この投稿者さんも、「身体が細いこと」について悩んでいる。一般的に褒めてると思われがちだからこそ、悪気なく身体のことが話題に上がる。他人の身体について何か言うことにもっとセンシティブになってほしいと、改めて感じたエッセイでした。みにょんはどう?
みにょん:私は、なつぺぃさんの「夢追い人は貧乏で当然?夢もお金もすり減らない場所を探して」。このエッセイが「人生変えてくれた」って思ってます。
すごくやりたい仕事があったけど、生活との両立が難しそうで諦めたことがあります。「あんなに好きだったのに諦めちゃった」って自分を許せず責め続けていました。
会社も休みがちになり、病んでいたときに、このエッセイに出会いました。夢を諦めてもいいんだって思えたし、また新しい夢を追いかけられるよっていう言葉に、正直、号泣しました。会社行くのがしんどいとき、昼休みに毎回このエッセイを読んでました。
すや眠:なんてよい話なんだ...!わたしも、この投稿者さんは歳上だから、お姉ちゃんの言葉、みたいな感覚でエッセイを読んでます。更新されると毎回チェックしてるな。
みにょん:分かる分かる。
すや眠:キャリアの話も参考になるし、恋愛に関するエッセイ、小説家の方が書いてるのか、ってくらい情景が浮かんでくる。早く本になってほしい。笑
ーー大人気...!みなさんは「この記事よかったなぁ」って思ったら誰かにシェアしたりしますか?
natsuno:友達に記事を送ることが多いです。「このエッセイは、あの子に何か気づきがあるかもしれない」って思ったときに、送ることがあります。あと、「読んでどう思った?」って感想を聞くこともある。エッセイを題材に話をすると、相手の価値観を深く知る機会にもなって、友達との心の距離が縮まりました。
すや眠:私はシェアはあまりしないかな。私だけだと思ってた悩みを、誰かがエッセイにしてくれていて、それがうれしい。自分と近いモヤモヤを抱えてる人はいないかなって、探すようにエッセイを読むことが多い。自分のための場所のような感覚です。
みにょん:私は、思ったことを垂れ流す友達とのLINEがあって。そこで「これマジ分かるわ」とシェアしてます。エッセイを通して自分の考えを振り返ることも多い。
ーー色んなエッセイの読み方があるんですね。
natsuno:情報収集、みたいな側面もあるかもしれない。ずっと、「自分の考えが普通」って思い込んでたんですよね。でもかがみのエッセイを読むようになってから、それは違うって気が付いた。
かがみよかがみのエッセイは、自分とは違う考えを知るきっかけになっています。友達の悩みを聞くときの、考え方の軸も増えました。
たー:自分の気持ちに向き合おうとしても、大変で、逃げちゃうことがあった。エッセイを読むことで、モヤモヤが昇華されて、勇気ももらえました。書いてくださる方は、「誰かのため」に書いてる訳ではないかもしれないけど、私はすごく救われていて、本当に、感謝しています。
ーーこんな風にエッセイが届いてることが分かり、編集部としてもすごく嬉しいです...!!今日はありがとうございました!!
記事内では掲載しきれなかった、参加者の方の推しエッセイ。
ひとことコメントともに紹介いたします!
◆たーさん
・恋愛経験がないのはやばい?私は固定概念に苦しめられたくないだけ(luna. )
「恋してるのが普通」という風潮に、ずっと息苦しさを感じていたので、とても共感しました。
・あの日心に蓋をした私を、フェミニズムはそっと抱きしめてくれた(熊田はむ)
大変そうと誤解されがちなフェミニズム。フェミニズムを知ることで楽になれることもある、というメッセージにすごく共感しました。
◆natsunoさん
・異性としてみられることが苦痛。「私」を見てほしい(釜)
恋愛に関して思っていたことをほぼ言葉にしてくれたエッセイです。最後の段落、「だれか『私』を見てくれないだろうか」が特に大好きな一文。
・私が勝手に作ったヒエラルキー「アパレル店員さんがこわい」(カンダ)
アパレル店員として働いていたのでとても衝撃を受けました。ヒエラルキーについての箇所は、昔の自分を思い出して、わかるわかると頷きながら読みました。
◆すや眠さん
・細すぎる自分の身体が嫌い。でも本当は全部ただの個体差じゃない?(Chihiro)
自分も身長が高く悩んだことがあるので、見た目に対する世間の価値観に違和感を抱く筆者に共感しました。
・私をニキビの悩みから救ったピル。その選択肢がもっと広まりますように(大久保遊花)
学生時代、性教育に関する活動をしていたので、等身大なピルへの考えが書いてあることが、すごくいいなと思いました!
◆みにょんさん
・夢追い人は貧乏で当然?夢もお金もすり減らない場所を探して(なつぺぃ)
このエッセイが、新しい目標を見つけて前を向くきっかけになりました。
・「なんでメイクしないんですか?」理由なんて必要ですか?(文乃)
私は、自分がメイクをすることに「したいから」以外に理由がないので、メイクをしないことに理由がない、というメッセージに、とても共感しました。
・かっこいいパンツスーツとかわいいスカート。どっちを好きでもいい(ちさと)
このエッセイを読むまで、ずっとフェミニズムに苦手意識を持っていました。なんとなく苦手だったその理由に気がつくことができました。
書くことでモヤモヤが昇華される経験は、きっとエッセイ投稿者のみなさんも実感する方が多いはず。エッセイを読む人にとっても、色んな影響を与えていることを、座談会を開いて知ることができました。この記事を読んでいるあなたの書いたエッセイも、きっと誰かの心をそっと寄り添っているかもしれません。
かがみよかがみでは、エッセイ投稿をサポートする「かがみもくもく会」を毎週木曜20時からオンラインで開催しています。
何を書きたいか考える「テーマ決め会」、どんな流れで書くかを話し合う「構成作成会」、じっくりと執筆にあたる「もくもく作業会」とご用意していますので、ぜひお気軽にご参加ください!
参加希望の方は、かがみよかがみ編集部の公式LINEまで「かがみもくもく会参加」とお送りください!
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。